【コラム】鉄道会社の収益構造が人口減少社会に向け変化 鉄道会社の生き残るための戦略は

今回は人口減少社会に向けて鉄道会社の収益構造が変化し始めています。今回鉄道会社が生き残りのための動きをまとめてみました。

※鉄道会社の一部を今回紹介します。すべての鉄道会社について紹介できないことはご承知おきください。

人口減少社会で鉄道会社に起こることを簡単に紹介

JR東日本「変革 2027」

そもそも、人口減少社会になると鉄道会社では何が起こるのでしょうか?全ては紹介しませんが重要と思うことを紹介していきます。

まずは地域によりますが、沿線人口が減少します。東京に近ければ沿線人口は減らないと思っている方も多いと思いますが、利便性が高い地域では人口を維持することができます。鉄道会社が利便性の高い価値がある沿線を持っているかどうかが今後の沿線人口のカギとなります。とはいえ、この先15年間でみれば人口や鉄道収益が減少してくることは確実です。あくまでも減少幅が小さくなるということで認識していただければと思います。

また2020年以降人口が減少し、関東圏も例外ではなく2015年を100とした時、2040年の予測では少なくとも9%、東北圏では約30%人口が減少する見込みです。

沿線人口の減少は路線にもよりますが、定期券を利用する乗客が減少します。定期券を利用する乗客が多いほど、切符で購入される時よりは収益は少し減りますが、毎月分安定して収入を得ることができます。これは鉄道事業で「安定して収入を得られているか?沿線に住むほどの魅力があるか?」という一つの指標になってきます。

沿線人口の減少している地域では採算性を取るために本数を減らすなど対策を行いますが、かえって利便性が低下し乗客が車移動にシフトするなどして、また本数を減らさなくてはならなくなるという負のサイクルになってしまいます。

人口減少に向けた鉄道会社の戦略は?鉄道会社は鉄道以外で儲けていく時代へ

人口減少に向けた鉄道会社の戦略をまとめていきますが、あくまで大手の鉄道会社にできることです。残念ながら中小の鉄道会社で行うことは難しいです。逆にこれを行える鉄道会社は今後生き残っていけると思われます。

関西圏の鉄道会社 不動産業での東京進出

SHINTO CITYより

関西の鉄道系不動産会社(近鉄HDの子会社の近鉄不動産)が関東圏に進出してきました。SHINTO CITYというさいたま新都心駅前の住居区画のデベロッパーとして近鉄不動産が参入した形です。

今後近鉄不動産は都心3区(千代田区、中央区、港区)を中心に資産規模を拡大していくほか、今回のSHINTO CITYのような大規模開発にも参加していくとのことです。

収益に対しての非鉄道事業の割合を増やす

近鉄「近鉄グループ経営計画」より

鉄道事業での収益はどの鉄道会社でも今後減少していくことが考えられます。そのため、鉄道会社は収益に対しての非鉄道事業での割合を増やしていく方針です。

非鉄道事業とは不動産(分譲マンションなど)であったり、ホテル・レジャーなどを指します。日本国内だけではなく、海外にも展開することで収益の安定化を図ります。

JR北海道が札幌駅に高層ビルを建てるのは間違っていない?

JR北海道より

最近ではJR北海道が札幌駅前に高層ビルを建てる計画を打ち出し、一部から「鉄道事業が赤字なのにそんなものを建てるな」など批判的な声がTwitter上で聞かれましたが、非鉄道事業の割合を増やすという点では正しい選択と思います。

また北海道圏では唯一札幌圏のみが今後人口を維持していける地域なので立地についても間違っていませんし、不採算路線を廃止しスリム化を図ることでJR北海道自体の会社の生き残りをかけた戦略だと思います。

鉄道事業では積極的なインバウンドの需要の取り込み(定期外収入の獲得)

各鉄道会社の中でも、関東圏の鉄道会社のほか、豊富な観光資源が沿線にある鉄道会社、事業規模の大きい鉄道会社がインバウンド需要の取り込みに力を入れています。関東圏では需要が各鉄道会社に分散してしまっているので、あまり一つの鉄道会社が大きく対策をするということはありませんが、関西の鉄道会社ではインバウンド需要の取り込みに力を入れている「近鉄」について紹介していこうと思います。

近鉄では伊勢志摩のインバウンド取り込みに力を入れる

伊勢志摩地域の一つ 鳥羽

近鉄の伊勢志摩地域は日本でも有数の観光資源がある地域で、関東圏での知名度は伊勢神宮を除くとあまり高くはないですが、近年関東圏のテレビ局でもCMを出すなど力を入れています。

実はこの地域は近鉄の独占地域と言ってもいいところで、レジャー・鉄道・バス・タクシーが近鉄関連の会社で構成されています。レジャー施設の多くはバブルの時期に建設され、志摩スペイン村など計画の縮小や赤字を出す施設がありますが、それらも含めて施設と特急券などが含まれ伊勢志摩を周遊する「まわりゃんせ」が発売されています。また、今後「まわりゃんせ」に関しても電子化してタクシーの予約などもスマートフォンから可能になる見通しです。(まわりゃんせについて知らない方は関連記事よりご覧ください。)

筆者撮影

皆さんが知っているものだと観光特急しまかぜがありますね。京都・大阪・名古屋から走らせていますが、それでも乗車率が高く、個室に至っては年間を通して予約が取りづらいほど盛況です。通常の特急より料金は高いですが、やはり設備面で乗客からの満足度が高いので乗車率が高いのではないかと思います。

観光特急は2013年にデビュー2020年でデビューから7年が経ちますが、これだけ高い乗車率を維持しているということは、かなりリピーターが多かったのではないのでしょうか?それほど魅力のある観光資源が多い地域でもあります。2019年10月25日金曜日の様子です。列車到着の際は一般の人でもカメラを向ける人が多いなど、「わざわざ乗りたい列車」として利用されていることがうかがえます。

伊勢志摩地域に大阪メトロへの直通特急が走る計画も

2025年に開催される大阪万博に向け、大阪メトロから伊勢志摩地域へ直通する特急が計画されています。これは大阪万博をきっかけに外国人の方にも伊勢志摩地域を知ってもらいリピーターになってくれることを狙いにしているものと思われます。

また、これに関連していると思われる「あやかぜ」が近鉄から商標出願されています。(詳しくは関連記事をご覧ください。)

鉄道会社が生き残るための戦略まとめ

これまで鉄道会社が生き残るための戦略をまとめると

  • 東京も含め今後日本全国で人口が減少する
  • 人口減少で鉄道事業以外の収益を増やしていく
  • 鉄道事業のみで儲けていくことは難しい
  • 関東に鉄道路線がない会社でも東京の不動産事業に参入
  • 付加価値(プレミアム感)を付けて単価を上げるとともに乗客の満足度も上げる
  • インバウンド需要の取り組みを実施していく(定期外収入を増やしていく)

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