今回は東京にある上野駅の「始発駅の顔」としての光景を撮影してきました。
2015年の上野東京ラインの開業で上野駅を始発とする列車は大きく減少し、現在は主に宇都宮線・高崎線の快速列車や一部特急列車のみになっています。
上野始発列車が発車するのは「低いホーム」と呼ばれている上野駅13番線~17番線ホームを指します。かつては特急列車や寝台特急などが多く発着するホームでしたが、それらが廃止になってしまったため、特急列車の発着より普通列車の方がメインになった印象が強いです。
また、上野駅の「低いホーム」は特徴的で、JRの駅としては珍しい頭端式ホームとなっており、「行き止まり」になっている駅になっています。利用客にとっても慣れた人であれば「低いホームということは上野始発だな」ということが思いつくので「少し待っても確実に座って行きたい」という人はあえて上野始発の列車を選択する人も多いです。
今回は上野駅の始発列車の顔としての風景を撮影してきました。撮影した風景から人の流れも感じていただければ幸いです。
上野駅の始発列車の風景 ST(エステー)終了やトウ4番など独特な言い回しも
折り返し上野駅始発となる列車がやってくると、まず一旦乗客を降ろすと車内の清掃を行います。もう降りてくる人がいないため、上野始発の列車に乗ろうとする人がドアの前まで詰め寄る光景が見れます。
また、車内清掃をしている間に上野始発となる列車の乗務員さんの交代が行われます。
そして車内清掃が終わると
「トウ、4番、ST(エステー)終了です。○○○○M、準備できましたらドア操作願います」
ホームの番号は14番線なので「じゅうよんばんせん」と発音するべきですが、同じ低いホームに15番線などがあり、聞き取りづらいこともあってだと考えられますが、あえて10をトウとして表現することで聞き取りやすくしていると思われます。14を普通に読むと間が空きませんが、トウ4番にすることで1と4の間に間が自然と空きますよね。
ST(エステー)は車内点検の略称と思われます。清掃を終わりましたよという合図だと思っていただければいいと思います。
この独特な言い回しはあまり他の駅では聞けないので、上野駅に行ったときには少し耳を傾けてみてはいかがでしょうか?
そしてその放送のあとに車掌がドアを操作し、大勢の人が乗りこんでいきます。一度上野始発の列車に乗ったことがある人なら分かると思いますが、上野東京ラインの列車とは違い、乗客が誰もいないためドアが開くと「椅子取り競争」のような状況になります。
撮影当日は休日ということもありそこまで並ぶ人はいませんでしたが、特に平日の18・19時の列車は混みあい、列も長蛇の列となることも少なくありません。
上野駅は人々の生活や人の流れが見れるから面白い
ベルが鳴り始めると乗り遅れないように乗客の人たちが列車に向かって走っていきます。始発駅とあって他の駅に比べてはベルが鳴る時間は長いですが、それでもベルが聞こえると気持ちは焦ってしまいますよね。
そして列車はゆっくりと上野駅を発車していきます。
風景を撮影するまで気づかなかったんですが、ホームの階段付近に駅員さんがいて「まもなく14番線から快速ラビット宇都宮行きが発車します」という肉声の放送はこの駅員さんの声だったんですね。
いつも2号車あたり(画像でいう手前方向)に乗るのでどこから放送しているのか疑問だったのですが、そういうことだったんですね。
また、この駅員さんが乗る人がホーム上の階段から降りてくる乗客がいないか見ていて、この日は休日ということもあって乗り遅れそうな人を待ってくれていました。
上野駅の始発駅としての風景で面白いのは人々の生活が見えることです。通勤をしている人だったり旅行をする人だったり、いろいろな人がいます。今回の撮影中にも列車発車後には頑張って走っていったけど乗り遅れてしまった人、ホームでお見送りをする人を見ることができました。
普段、列車に乗るだけの人も時間があるときに人々の生活を眺めてみるのもいいかもしれませんね。
※撮影は2018年夏ごろに撮影したものです。