今回は意外と知られていない「特別下車」について実際にやってきました。また、乗車券の区間外にも関わらず「特別下車」で降りることができました。

次に乗り継ぐ列車の接続が悪い時に活用してみてはいかがでしょうか?

特別下車とは何?前途下車無効の乗車券でも改札を出られる?

JR東日本旅客営業取扱基準規程 145条より

特別下車とは途中下車とは少し性質が異なります。

途中下車とは営業キロが片道100km以上の乗車券について、経路に含まれている駅であれば途中下車をすることができます。(ただし、大都市近郊区間などを除く)

一方、特別下車とは営業キロが100km未満で途中下車ができない乗車券や経路外の乗車券について、一定条件を満たした場合に改札から出ることができます。

また、特別下車印についても用意されていることがあり、形は途中下車印の楕円形と異なり、ひし形の印鑑となっています。ただし、駅員さんの話によると特別下車印がない場合もあり、その場合は途中下車印で代用してもいいということでした。今回の特別下車の旅では全て途中下車印が押されています。

どこの駅でもできるわけではない?特別下車ができる条件とは?

JRの三ノ宮駅の画像がないためイメージ:編集部撮影

先ほど説明した通り、特別下車をするには一定の条件を満たす必要があり、どこの駅でも降りれるわけではありません。条件としては2つあり、JR東日本旅客営業取扱基準規程にはこう書かれています。

接続駅で駅の設備、接続関係等によつて、直通乗車券を所持している旅客を一時出場させる場合は、途中下車の取扱いに準じて、乗車券に途中下車印を押さなければならない。途中下車を認めない乗車券を所持している旅客を一時出場させる場合もまた同様とする。

JR東日本旅客営業取扱基準規程 145条より

また、大阪駅とJR東西線北新地駅では一度改札を出て徒歩連絡をすることができますが、それも特別下車として取り扱われています。

神戸市内発着の乗車券で新幹線駅の新神戸駅まで新幹線を利用するため、三ノ宮・元町・神戸・新長田・新神戸の各駅に下車する場合に特別下車が認められています。

大阪駅と新神戸駅ではどちらも駅の設備上の理由で特別下車をすることができ、それらの駅を利用する一般の人にも広く周知されています。

今回の特別下車の旅では接続上の都合で下車をするのですが、それに加えて折り返し乗車の特例で途中下車ができない駅にも関わらず、特別下車を行ってきたということで紹介していきます。

区間外の駅でも降りれる?特別下車の旅

今回特別下車の旅で使用した乗車券:編集部撮影

今回特別下車の旅で検証してきた乗車券がこちらになります。今回は山形駅での特別下車について紹介します。

鉄道の旅の醍醐味は車内でお酒を楽しめること:編集部撮影

ルートは上越新幹線まで新潟へ行き、いなほに乗り換えて陸羽西線の快速最上川に乗車して新庄へ、新庄からは山形新幹線に乗り山形へ、山形から仙山線で仙台へ抜けるルートです。

今回の山形駅での特別下車をしようと思った根拠として、JR東日本旅客営業取扱基準規程145条にはこのような記述があることに着目しました。

(駅設備・接続時間により)途中下車を認めない乗車券を所持している旅客を一時出場させる場合もまた同様とする。

JR東日本旅客営業取扱基準規程145条

これは下車前途無効となる100km以下の乗車券と分岐駅の特例区間での途中下車ができないということに対しても適用されると解釈し、山形駅では接続時間が53分ということで接続時間の都合から「特別下車」が可能であると判断しました。

新庄~山形間は山形新幹線に乗車:編集部撮影

新庄までは快速最上川に乗車しました。新庄から山形まで移動を考えたのですが、普通列車は2時間後でそれに乗車するとその後の仙山線に乗り継ぎができないため、山形新幹線で新庄~山形まで乗車することにしました。確かに途中の村山で降りて普通列車に乗りたかったのですが、やはり車内でお酒を楽しみたいのと特別下車をする都合上、新幹線で山形に向かうことにしました。

山形駅の一つ手前の北山形駅、向こう側に見えるのが仙山線の快速仙台行き:編集部撮影

ここで問題となるのが山形駅での接続の悪さです。新庄から山形新幹線に乗車して山形駅の到着時刻は16時5分、仙山線快速仙台行きに乗り継ぎをしたかったのですが山形駅発車時刻は15時59分で接続はなく、次の仙山線普通列車は約1時間後の16時58分までありません。時刻表風に表にまとめるとこんな感じになります。

つばさ150号東京行き仙山線快速仙台行き仙山線普通仙台行き奥羽本線普通山形行き
新庄駅15時17分発16時14分
北山形駅16時2分(通過)16時3分発17時1分発17時20分
山形駅16時5分着15時59分発16時58分発17時23分

表を見ていくと今回乗車した「つばさ150号」と仙山線快速仙台行きが北山形駅ですれ違っていることが分かります。

もし、山形駅で接続していれば1時間早く仙台駅に着くことができますが接続はなんとかならないものでしょうか?山形駅~新庄間の特急料金も1200円ですし、決して安い料金だとは思わないので、何とかなるのなら接続してほしいですよね。

さて、山形駅では53分の接続待ちとなるのでここでも先ほどの説明の通り、特別下車をすることになりました。山形新幹線の場合にも分岐駅の特例で山形~羽前千歳間で通過列車の折り返し乗車が特例で認められています。

本来であれば分岐駅の特例では、途中下車をしない限り今回の場合であれば計算上、羽前千歳~山形間は運賃計算に入れないことになっています。しかしながら、「途中下車を認めない乗車券を所持している旅客を一時出場させる場合もまた同様とする。」とあり接続時間が53分で接続時間の都合に該当するのでこれは特別下車が可能であるとの解釈をしました。

実際に特別下車の申し出をしたところ改札を出ることができました。もちろん、今回特別下車をするにあたって「グレーゾーン」という認識はあり不正乗車と捉える方がいるだろうという予想はしています。しかしながら、一応条文的には接続時間の都合上、特別下車は可能という解釈もできるため今回実行しました。

ところで特別下車は身近な駅でもすることができるかもしれません。できそうな駅・列車を紹介していきたいと思います。

特別下車ができそうな駅・列車は?知っておくと得かも?

両毛線:編集部撮影

まず、特別下車について繰り返しになりますが、「設備の都合上・接続時間の都合」いずれかを満たす必要があります。今回は接続時間の都合上、特別下車ができそうな駅を調べてみました。

大回り乗車をやったことがある人なら分かると思いますが、宇都宮線と両毛線・水戸線の接続駅である小山駅があります。この駅は水戸線と両毛線の接続が悪く、宇都宮線から水戸線や両毛線に乗る場合も同様に接続が悪くなっています。

最も接続が悪いのは宇都宮駅発10時36分発~19時42分発までの毎時40分前後に発車する列車です。小山駅到着時刻は毎時3分に到着する列車が多いですが、両毛線・水戸線の発車時刻はそれぞれ毎時2分・3分発車なので到着と同時に発車するため、乗り換えは物理的に不可能です。次の列車は約1時間後となるので特別下車ができる可能性があります。

また、高崎駅でも上越線・両毛線から信越線に乗り換える場合接続時間が1時間程度空く場合が日中を中心にあります。ですので駅員さんに申し出れば高崎駅で改札を出ることも可能かと思います。

特別下車は在来線だけではなく新幹線でもできる

特別下車ができるのは在来線だけではなく新幹線でも行うことができます。ただし、条件として新幹線同士を乗り継ぐ場合で乗り継ぎ時間が1時間程度ある場合です。

例えば新幹線は走っているが行き先や停車駅によって、目的地の駅にたどり着けないため列車の接続が1時間空く場合が特別下車を行うにあたっての条件となります。

ちなみにこの場合は途中下車ではないため、特急券は通しで仙台駅に降りることができます。仙台駅で過去に特別下車を行った人を見ると、ひし形の特別下車印が用意されているようです。

特別下車についてのまとめ

特別下車は途中下車ができない乗車券でも設備上・接続時間上の理由により、改札を出ることができる措置のことを言います。

今回の特別下車について駅員さんの話だと、接続時間が1時間を目安にしている場合が多いようで特別下車については駅によってその時間が異なるかもしれないということでした。あくまで、乗客の便宜を図る措置ですので仮にできなかったとしても駅員さんを責めることはしないで頂きたいと思います。

旅行中に途中下車ができない乗車券だったとしても「接続時間の都合で特別下車で改札を出たい」ということを申し出れば改札を出ることができるかもしれませんね。

ただし、大回り乗車などの場合には認められない可能性もありますし、悪用した場合特別下車が今後認められなくなる場合もあるのでやめましょう。

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