7月2日、東海道新幹線にN700系がデビューしてから1日経ちました。JR東海はどの運用がN700Sなのかを事前に公表していますが、何らかのトラブルにより急遽車両の変更がありました。急な変更にN700Sを狙って乗車しようとしていた乗客からは不満の声があがりました。
運用の性質上車両変更は仕方のないことか
JR東海による事前の告知でN700Sとされていた便が、急遽N700Aに車両が変更されたことに不満の声が上がっています。運用変更の公表が遅かったため、すでに入場してしまっている人も少なくありませんでした。乗れなかった人の気持ちは十分理解できますが、東海道新幹線の運用の性質上あまり同情は多くありませんでした。
元々N700Sは運用を固定しないで済むように、従来車と座席数を同一に設計されました。今回のように急な車両変更があったとしても、座席不足による払戻をしなくて済むのです。本来事故があったわけでもなく、ただ単に車両が変更になっただけなので、払戻とかいう話にはなりませんが、事情が特殊なのと規則を参照すると、議論に余地がありそうです。規則に詳しいツイッターユーザーの解釈を紹介します。
本来の設備が無いとして払戻が可能か
まず「この便がN700Sが運用」といったことを大々的に広告し売り出しているため、車両変更により特定の設備が利用できなくなったと解釈することができます。今回の場合は全車コンセントといったN700Sにしかない設備があげられます。
急行券を所持する旅客は、第 282 条の規定によるほか、第1号から第3号までの1に該 当するときは、その急行料金の全額の、第4号に該当するときはその急行料金の半額(10 円未満のは数を切り上げて 10 円単位とした額)の払いもどしを請求することができる。 この場合、第 57 条第2項、第6項及び第8項の規定を適用して発売した急行券について は、当該急行券のうちの1個列車が該当する場合であっても、全区間に対して払いもどし の請求をすることができる。
旅客営業規則第289条第2項2
(1) 急行列車が出発時刻に1時間以上遅延したため、又は遅延することが確実なため、当 該列車の利用を取りやめたとき
(2) 前項の規定により、他の急行列車に乗車したとき
(3) 急行列車の遅延により、着駅到着時刻に2時間以上遅延して到着したとき
(4) 車両の故障等により、固定編成車両以外の車両を連結して特別急行列車を全区間運
転する場合で、当該車両に乗車したとき
今回は車両故障で事前に告知していた運用が変わり固定編成以外の車両になりました。しかしこれは新幹線の特別急行列車に適用されることはないので、「あくまで過去の事例を元に、この場合と同様に払戻しを行なってもいいんじゃないか?という提起」としています。次に旅客営業規則よりも細かく係員の取扱いについての定めがある旅客営業取扱細則を参照します。
(編成変更の場合の取扱方)
旅客営業取扱細則第369条の2及び3
第369条の2 規則第289条第2項第4号の規定により固定編成車両以外の車両に乗車した場合は、原特別急行券の券面に「編成変更」の例により記入し、証明する。この場合、充当する席のないときは、「立席」の例により証明し、前途の駅において特別急行料金の全額の払いもどしをする。
2 旅客が、車両の故障等により固定編成車両以外の車両を連結して特別急行列車を運転するため、当該列車の利用を取りやめたときは、特別急行料金の全額の払いもどしをする。
(冷房装置又は暖房装置の故障の場合の取扱方)
第369条の3 急行列車の冷房装置又は暖房装置が故障した場合は、その車両に乗車している旅客に対して、次の各号に定めるところにより取り扱うものとする。ただし、第1号アただし書、同号イ及び第2号イの規定による取扱いをする場合は、そのつど、支社長の指示により取り扱うものとする。
(1) 故障した車両が指定席又は寝台の車両であるとき
ア 同一列車の他の指定席又は寝台の車両に案内し、空席を充当する。この場合、すでに所持する指定席又は寝台に対する指定席特急料金、特別車両料金(A)、寝台料金、コンパートメント料金及び座席指定料金と実際に乗車した指定席又は寝台に対する指定席特急料金、特別車両料金、寝台料金、コンパートメント料金及び座席指定料金とを比較して、過剰額は払いもどしするものとし、不足額は収受しない。ただし、充当する指定席又は寝台がないときは、指定券の券面に「冷房故障立席」の例により記入し、証明のうえ、前途の駅において、指定席特急料金(規則第57条第7項の規定を適用して発売した指定席特急券にあつては、その全部又はその一部を故障した車両によつて旅行した特別急行列車の乗車区間に対する指定席特急料金)、特別車両料金(A) (規則第58条第7項の規定を適用して発売した特別車両券(A)にあつては、その全部又はその一部を故障した車両によつて旅行した特別急行列車の乗車区間に対する特別車両料金(A))、寝台料金、コンパートメント料金及び座席指定料金の全額の払いもどしをする。
イ 故障した車両によつてそのまま旅行を継続するときは、指定券の券面に「冷房故障」の例により記入し、証明のうえ、前途の駅において、急行料金(規則第57条第7項の規定を適用して発売した特別急行券にあつては、その全部又はその一部を故障した車両によつて旅行した特別急行列車の乗車区間に対する特別急行料金)、特別車両料金(A) (規則第58条第7項の規定を適用して発売した特別車両券(A)にあつては、その全部又はその一部を故障した車両によつて旅行した特別急行列車の乗車区間に対する特別車両料金(A))、寝台料金、コンパートメント料金及び座席指定料金の半額(10円未満のは数を切り上げて10円単位とした額。以下同じ。) の払いもどしをする。
(2) 故障した車両が自由席又は指定席以外の座席の車両であるとき
ア 同一列車の他の自由席又は指定席以外の座席の車両に案内する。ただし、満員等の事由により案内することができないときは、運輸上支障がないと認められるときに限り、別に料金を収受しないで、指定席の車両(特別車両を除く。) に案内することができる。
イ 故障した車両が固定編成車両(普通急行列車として運転する同車両を含む。) であるときで、その車両によつてそのまま旅行を継続する場合は、急行券の券面に「冷房故障何月何日何レカレチ」の例により記入し、証明のうえ、前途の駅において急行料金の半額の払いもどしをする。2 前項第1号の規定は、急行列車の特別車両(自由席に限る。) の冷房装置又は暖房装置が故障した場合の取扱方について準用する。
JR東海は運用は急遽変更する場合があるとしていますが、そもそも上記の規定にあることは急遽でなければ起こりません。全席にコンセントを設置していると大々的に売りにしているので、それが無いとなると旅客側に不利ですから救済処置は適応されるという考え方もあります。
369条の3は冷暖房の故障とありますが、食堂車の有無などの設備変更でも取り扱われた例があるとのことです。通勤客にとって、食堂車よりもコンセントの方がよっぽど重要です。全席コンセントの有無が設備変更であると通用するかが焦点だと思います。
今回の規定が必ずしも適応されるかと言われればそうではないと思いますので、あくまでこういった考え方もできると捉えていただければと思います。また筆者は規則の専門家ではないため、間違っている点があるかもしれませんがご容赦ください。
デビューしてまだ2日で本数もかなり少ないですから、もう少し落ち着いてから乗ってみてはいかがでしょうか。
おいおい、キレてる鉄道マニアさん達、N700Sは引退車両と違って今後いくらでも乗ることできるだろ?
航空機だって機種変更そっちゅうあるんだ、車両変更くらいで騒ぐなよ。それに車両変更あるかもしれないと考えておくのが当たり前。