2020年7月20日、フェリーを利用する際にGoToトラベルキャンペーンがどのように適用になるのかの概要が発表となりました。例えば「2等の雑魚寝は対象になるのか?」「車の料金(自動車航送運賃)は対象になるのか?」といった疑問を解決できるように解説していきます。
GoToトラベルキャンペーンで適用となるのは「夜行フェリー」
今回対象となるのは「夜行フェリー」が主にGoToトラベルキャンペーンの対象となります。「夜行フェリー」といっても青函フェリーのように約3時間の航路を深夜に航行するタイプと、苫小牧~仙台航路のように夕方出発し、翌日に到着するため宿泊施設とみなすタイプがあります。
今回発表された観光庁の発表があまりに曖昧ですが、一応発表がされています。
午後9時から午前3時までの間において運航している便(当該時間帯の中で運航が開始され終了する便のほか、当該時間帯の前から運航が開始され当該時間帯に運航が終了する便や、当該時間帯に運航が開始され当該時間帯後に運航が終了する便を含む)であって
宿泊を伴うものを「夜行」フェリーと定義することを検討中。
観光庁より
回りくどい言い方ですが、要するに午後9時以降に出発するフェリーであれば、青函フェリーなど3時間の航路でも対象となるということが発表されました。逆に日中の航路については対象外となる可能性が高いです。
「苫小牧~仙台航路など宿泊を伴うものを「夜行」フェリーと定義することを検討中。」と曖昧な指針
フェリーの性質上1日がかりで航行するものもあります。例えば苫小牧~仙台航路では1日かかりますし、ホテルと同様の個室も多数設置されています。
さすがに、ベットと毛布があって枕がある状況であれば「宿泊施設」としてみなさなくてはいけなくなりますし、対象になる可能性は非常に高いでしょう。ただ、あくまで検討中のため対象外となる可能性もゼロではありません。
隔日運行ですが、苫小牧~仙台~名古屋航路という2日がかりの航路も存在します。こういった場合は1人2泊の上限の4万円が適用されるのでしょうか?そのあたりの指針は今回発表されませんでした。
「2等の雑魚寝」はGoToトラベルキャンペーンの対象となるのか?
宿泊を前提としたフェリーでは近年「個室化」が進み、「2等船室での雑魚寝」というのはあまり見られなくなっていますが、現在も少なからず残っている船があります。GoToトラベルキャンペーンでは「2等の雑魚寝」も対象になるのでしょうか?
観光庁の発表によると以下の記載がありました。
ベッドと同視できるフルフラットの睡眠スペースが提供されるとともに、枕、毛布その他の寝具が提供されているものについては、宿泊施設に準ずるものとして、支援対象となる。
観光庁より
「2等船室」では「寝具の提供があるかないか」で判断がされそう
今回2等船室の画像として「太平洋フェリー きそ」の写真を使用しましたが、枕・毛布・マットレスの設備が確認できます。ベットと同視できるという判断が微妙な線引きですが、少なくとも寝具は提供されているので宿泊施設としてみなされる可能性は高いでしょう。
しかしながら、カーペットだけという「雑魚寝をするだけ」の2等船室を持っている船もいます。その場合は「寝具の提供がされていない」ので対象外という可能性が高いです。
ともかく、「寝具の提供があるかどうか」が大きな判断基準になります。青函フェリーとかにある「座席のみ」というのも、もちろん対象外となります。
この点についても今回の発表では明確な指針は示されませんでした。
関東から北海道に行く場合など「自家用車の料金」はGoToトラベルキャンペーンの対象?
例えば関東から北海道へ車を持ち込んで、道内をドライブしたいという人もいるでしょう。その際にかかる自動車の料金、これを「自動車航送運賃」と言いますが、これがGoToトラベルキャンペーンの対象になるかという疑問を持っている人も多いかもしれません。
例えば苫小牧~仙台間の「自動車航送運賃」は5m未満で1万7600円と結構お高いと感じる人も多いかと思います。(太平洋フェリーの場合は大人1人で2等またはC寝台を利用可能です。)
今回「自動車航送運賃」については観光庁は次のように回答しています。
地域経済に好循環を創出するという本事業の制度趣旨に照らし、乗用車については対象とする(事業用トラックは対象外)。
観光庁より
ということで、乗用車については明確に「対象となる」ということが記載されています。
また同様にバイクについては以下のように回答しています。
旅客運賃と特殊荷物(二輪車)料金がセットで発券されている場合には、特殊荷物(二輪車)料金を含めて支援の対象となる。
ここで注意しなくてはいけないのは「セットで発券される場合」ということです。セットで発券されないということもあるのでこのような記載があると思われますが、要するに乗用車と同じように料金に旅客運賃が入っていない場合は対象外となるということが記載されています。
これはツーリングを楽しみたい人からすると残念な措置かもしれません。
フェリーでGoToトラベルキャンペーンの恩恵を最も受けるにはどうしたらいいか?
フェリーを利用する際にGoToトラベルキャンペーンの恩恵を最も受けるにはどうしたらいいでしょうか?
もう一度、今回のGoToトラベルキャンペーンの割引額の上限について考えてみましょう。上限は1人1泊2万円が上限となります。観光庁の資料に掲載されている「地域共通クーポン」については2020年9月1日の運用開始を予定しており、夏休み期間中については対象外となります。
「地域共通クーポン」が使えるようになれば6000円分を船内の食事に充てられるかもしれませんね。
本題に戻りますが、自動車を北海道まで持っていくと仮定して、太平洋フェリーでは「自動車航送運賃」は1万7600円となっていますが、追加料金不要で利用できるのは2等船室とC寝台で、先ほどの2等船室のような個室ではないところで寝るのは嫌ですよね?
太平洋フェリーでは差額を支払うことで上位の部屋にアップグレードすることができます。
1人1泊2万だと「個室にアップグレードできない?」「自動車の料金を人数割りも不可」とフェリーにおけるGoToトラベルキャンペーンは少し残念
ただし、GoToトラベルキャンペーンの上限額が既に1人1泊2万円となっていて「自動車航送運賃」から引くと2400円分しかアップグレードできません。また、家族や友人で複数人利用の場合は「自動車航送運賃を人数割りする」ということが恐らくできないと思います。人数割りが可能であれば個室にもアップグレードができそうですが、現時点では不可になります。
1人の場合、昔の寝台特急でいう開放型B寝台(通路挟んで左右に2段ベット)までしか2400円の範囲ではアップグレードすることができません。選択できるのはB寝台、S寝台(通路を挟むのは変わりないですが、B寝台の1段バージョン)のみになっています。
「自動車航送運賃」をGoToトラベルキャンペーンの対象にはできるけども、GoToトラベルキャンペーンの補助金の枠でアップグレードすると個室にできないので「少ししょぼい」というのが正直な感想です。
確かに2万円が1万3000円になるのはありがたいですが、最低でも個室とかにアップグレードできればいいのにとは感じます。4人で旅行したとして1人は「自動車航送運賃」が料金に入るので、「1等アウトサイド(外が見える個室)」を予約した際にはGoToトラベルキャンペーンの差額で枠を超えた5500円は対象外。1人あたり15900円なので他の3人は対象となります。総額的には7万3200円なので全額対象になりそうですが、5500円分はならないので、実際は1人あたり5900円ずつ割引になる形になります。
逆にバイクでツーリングする人が「旅客運賃」と「バイクの料金」をセットにできれば、上限の2万円ギリギリまで枠を使っても個室にアップグレードはできそうですね。
【最重要】GoToトラベルキャンペーンの対象外になる場合 東京発着も対象外
最後にGoToトラベルキャンペーンの対象外となる場合について紹介したいと思います。
皆さんもご存じの通り「当面の間」東京都在住の方・東京を目的としている旅行については対象外となっています。ただし、フェリー以外の交通機関では乗り換えのために東京都を経由する場合は除くと発表されました。例えば東海道新幹線へ乗り換えるために東京駅で乗り降りする場合は「対象とする」という指針が発表されました。
しかしながら、フェリー・寝台特急については「東京発着」をしていると対象外となります。例えば、埼玉県に在住の方が「オーシャン東九フェリー」を使い、寄港地の徳島・北九州へ移動したとしましょう。しかし、今回出された指針ではそもそも「東京の港から出発しているから対象外」という指針が出されており、上記の航路は「当面の間、GoToトラベルキャンペーンの対象外」となります。
この点についてはまだ変更される可能性がありますが、「不公平だ」という意見が噴出しそうです。寝台特急についてはこの指針のせいで、東京駅で乗車・下車は対象外にも関わらず、横浜から乗車・下車すれば対象となるということに今のところなっています。
フェリーでは残念ながら、横浜~北九州という航路がない・寄港しないため、当該フェリー航路は対象外となりますので、利用する際にはお気を付けください。