今回はJR東日本でなぜ「新幹線を使った大回り乗車」ができないのかその理由についてまとめました。
JR西日本では最短経路の乗車券で一部区間をグリーン車でも新幹線で利用することができるのに対して、JR東日本では現在では禁止されていますが、過去には行うことができました。
一体なぜ「新幹線で大回り乗車」をすることができなくなってしまったのでしょうか?
まずは大回り乗車についておさらいをしましょう。
大回り乗車とは? 最短経路の乗車券であえて迂回乗車をすること
大回り乗車とは「大都市近郊区間内」であれば、どの経路を通ったとしても乗車券は最短経路で計算するというルールに基づいて行われるものです。
例えば、東京から隣の神田駅まで山手線で1駅3分で行けるところを遠回りで乗車する方法があります。
例えば、神田から山手線外回りに乗って新宿まで行き、八王子→高崎→小山→友部→上野→神田と数時間かけて乗ったとしても、運賃計算は最短経路となるので乗車券は140円で計算しますというルールになっています。
普通の人はこんなことをしませんが、鉄道ファンの間では定番になっていて、140円しか払わなくても房総半島の景色を見れたり、特急列車に乗車できたりするのが大きな魅力です。
2時間以上の大回り乗車では自動改札機が通れなくなるので注意
ただ、自動改札機では不正乗車対策で「時間制限」が設定されています。例えば、2時間以内に改札を出なかった場合には自動改札機が通れなくなります。
駅員さんのいる改札口を通らなくてはいけませんが、「大回り乗車です」「こういう経路で乗りました」と合理的な理由が説明できれば、問題なく改札口を通ることができます。
また、鶴見駅など中間改札機があるところは強制的に駅員さんのいるところに行かなくてはなりませんが、これも「大回り乗車です」といえば通してくれます。
【注意点】大回り乗車中は「途中下車・ルート重複」と「新幹線乗車」ができない
大回り乗車での注意点は「途中下車」と「新幹線乗車」ができないことです。
途中下車とは乗車券にかかれている経路上の駅で降りることです。大回り乗車では「途中下車をしない」・「乗車経路が重複しない」というルールを守らなくてはいけません。
ルールを破ってしまうと大回り乗車が認められず、実際に乗車した経路で運賃が計算されてしまうので注意が必要です。(不足している場合には差額の徴収がされます。)
また、JR東日本の「大都市近郊区間」のルールでは東北新幹線・上越新幹線・東海道新幹線には乗車することができません。
なぜJR東日本では大回り乗車中に新幹線が乗れなくなってしまったのでしょうか?
【過去は大回り乗車で新幹線に乗れた!】なぜ乗れなくなってしまった?
実はJR東日本で大回り乗車中に新幹線に乗車することは過去にできた事例があります。
大回りで乗車できたのは東北新幹線(東京~宇都宮間)、上越新幹線(東京~高崎間)で。例えば両毛線経由の乗車券を持っていたとしても特急券を購入すれば乗車ができました。
今でも140円の切符で新幹線の大回り乗車ができたとしたら、高崎~東京間・高崎~小山間で特急券を購入すれば、利用できたのではないでしょうか?
新幹線の大回り乗車ができなくなってしまったのはあの「新駅開業」が原因でした。
「新駅開業」でJR東日本新幹線に大回り乗車で乗れなくなった
その新駅開業とは上越新幹線熊谷~高崎間に設置された「本庄早稲田駅」です。
「本庄早稲田駅」は早稲田大学本庄キャンパス新設に伴って、地元の各企業や早稲田大学の寄付によって設置された「請願駅」です。
本庄早稲田駅の設置に伴って、運賃制度が変更されました。
- 熊谷~高崎間は在来線と新幹線を別線扱いとする(新町~高崎~本庄早稲田の片道乗車券も新規で発売)
- 熊谷~高崎間を通過する時には新幹線経由の乗車券でも在来線に乗ってもいい
- 本庄~熊谷間の定期券を持っている人は本庄早稲田から新幹線に乗ってもいい
- これまであった特例区間を廃止
- 新幹線に乗る場合は実際の距離で計算(大回り乗車で乗車不可。①をやるためにやむを得ない措置)
- 東京付近の特例区間の一部廃止・縮小
大回り乗車で関係するのは特に①と④-1で「高崎~熊谷間を在来線と新幹線は別線扱いにします」というのが大きな理由となっています。
こうしないと新町~高崎~熊谷間を乗車したとして最短経路で計算してしまうと新町~(本庄)~熊谷間の乗車券でも高崎から新幹線に乗れてしまうことになります。
これはJR東日本としても面倒で改札口でトラブルになりかねないというところもあると思いますが、2004年3月13日の本庄早稲田駅開業に合わせて、新幹線乗車の場合は実際の乗車経路に応じて計算するため「大回り乗車中の新幹線の乗車は不可」というルールになってしまったというわけです。
2004年3月12日まではJR東日本の大都市近郊区間でも新幹線による大回り乗車が可能であったという歴史があり、なぜ新幹線による大回り乗車ができなくなってしまったかということはお分かりいただけましたでしょうか?
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本庄早稲田駅開業によって新幹線を近郊区間から外したおかげで在来線の近郊区間のみになる乗車券区間(宇都宮~東京など)で新幹線経由の乗車券にして途中下車出来るので最高だと思います。
そうです。東京近郊区間だけでは100km超えても途中下車不可能だが水戸から横浜でも上野東京を新幹線経由にするだけで途中下車可能有効期限2日間になるから最高です。西日本みたいに新幹線単独駅がある新大阪〜姫路だけ大阪近郊区間外になったみたいに熊谷〜高崎だけ東京近郊区間から外して他が東京近郊区間だったら途中下車出来ず超不便だったと思います。自分は近郊区間制度がなければいいのにと思います。
自分は茨城県の常磐線の駅前に住んでいて並行新幹線がないが上野東京だけ新幹線経由にして途中下車出来るようにしています。早稲田大学が依頼しなかったら本庄早稲田駅は出来ず今も新幹線が東京近郊区間だったと思い途中下車不可能ですね。となったら東京〜熱海の東海道新幹線経由で在来線だけでも途中下車出来るようにして東京品川を新幹線経由ですね。