2020年3月14日から運行を開始する新型名阪特急「ひのとり」。電算記号は「HV」。現在最初に製造された80000系で全て機器は統一されたかに思われましたが、主電動機・制御器が編成によって異なることから80000系・80010系・80050系の3形式が導入されるとのことです。(いわゆる近鉄クオリティ)

2020年3月4日現在、80000系4編成の製造され、80010系1編成が2月28日に高安に陸送されている状況です。

今後新型名阪特急「ひのとり」の編成はどのように配備されていくでしょうか?編成についても解説していきます。

新型名阪特急「ひのとり」は80000系・80010系・80050系の3形式が導入 編成はどうなる?違いは?

近鉄より

新型名阪特急「ひのとり」に使われる近鉄80000系・80010系・80050系の3形式は合計で11編成、72両が導入されます。電算記号「HV」については形式による違いでの使い分けはなく、「HV」で統一されます。

前回80010系の高安陸送の記事を出しましたが、Twitter上で「80010系は存在しない」「編成数が合わない」などのご意見を頂きました。筆者としてもこのままで終わらせてしまうとせっかく読んでくださった方に申し訳ないので、きちんと解説をすべきであると考え、今回は編成について的を絞って記事を出すことにしました。

さて、今後新型名阪特急「ひのとり」の編成がどのように導入されていくか、形式の割り振りはどうなっているのか、編成についても解説していきたいと思います。(今回の記事は鉄道ファン2020年4月号などを参考にしています。)

近鉄80000系・80010系・80050系の共通スペック

  • 電気方式:直流1500V
  • 設計最高速度130km/h(33.3‰の勾配でも110km/h以上の速度で走行できる)
  • 加速度:2.5km/h/s(メーカーにより主電動機が異なりますが、性能は同じです。)
  • 減速度:4.0km/h/s

近鉄80000系の編成・主電動機・制御器について

編成については近鉄80000系は6両編成でHV01・02・03・04編成の4編成。近鉄80000系については4編成のみで製造がすでに終了しています。

主電動機・制御器のメーカーについては三菱製を採用しています。

主電動機はMB-5183A形240kWで「全閉自冷式かご形三相誘導電動機」を近鉄としては初めて導入しています。メンテナンスの軽減や部品数の削減になったということです。

制御器はMAP-234-15VD327形を使用しています。低損失のHy-sicは近鉄で初めて導入されました。

ちなみに後で説明する8両編成の80050系についても主電動機と制御器は同じものを使用しています。

近鉄80010系の編成・主電動機・制御器について

近鉄80010系はHV11・12・13・14編成の4編成製造されます。近鉄80000系と同じ6両編成ですが、主電動機と制御器のメーカーが異なることで形式が変わっています。

近鉄80010系に使用される主電動機・制御器は日立製を採用しています。先ほどの近鉄80000系では三菱製を採用していて、メーカーによる違いによって形式が分かれています。

主電動機はHS-34531-13RB形230kWです。三菱製に比べ10kW低いですが、車両性能は三菱製の近鉄80000系と同じとなっています。

制御装置はVFI-HD2420D形を採用しています。

近鉄80050系の編成・主電動機・制御器について

近鉄80050系はHV51・52・53編成の3編成製造されます。近鉄80000系と主電動機と制御装置は同じですが、8両編成のため形式が分かれます。

主電動機・制御器については三菱製で先ほどそれについては記述したので省略します。

新型名阪特急「ひのとり」の編成図は?「ひのとり」で改善された点は?

ここからは近鉄80000系など新型名阪特急「ひのとり」の編成図を見ていきましょう。

まずは先頭車両のみ紹介していきたいと思います。

【編成表】ク80100・ク80600(先頭車両、ハイデッカー車両)

近鉄プレスリリースより

新型名阪特急「ひのとり」の編成で運転台のある先頭車両はハイデッカー構造となっています。ハイデッカー構造とすることで、プレミアム車両の乗客が景色をより楽しめるようになっています。近鉄ではアーバンライナーの時には車内販売を行っていた列車がありましたが、今回ハイデッカー構造となり階段があることでワゴンでの車内販売が難しくなったこともあり、「ひのとり」では車内販売を行いません。

ただし、車内販売がなくなる代わりにコーヒーマシンを使ったドリップコーヒーやお菓子の自動販売機が設置されます。

また、制御車のためATSや列車無線装置、列選装置が設置されています。また、先頭車両は空気抵抗のため中間車に比べ乗り心地が一般的に悪いと言われています。そのため、制御車には電気式横揺れ軽減装置が付けられています。(中間車には設置がありません。)

号車の振り方は大阪難波方のク80100形が6号車または8号車となり、ク80600が近鉄名古屋方になるため1号車となります。

台車については近鉄50000系に引き続きフルアクティブサスペンションが採用されました。

【編成表】6両編成はク80100-モ80200-サ80300-モ80400-モ80500-ク80600

6両編成の80000系と80010系は【大阪難波←ク80100-モ80200^-サ80300-^モ80400-^モ80500-ク80600→近鉄名古屋】となります。(^はパンタグラフの位置)

【編成表】8両編成はク80100-モ80200-サ80300-モ80700-サ80800-モ80400-モ80500-ク80600

8両編成の80050系は【大阪難波←ク80100-モ80200^-サ80300-^モ80700-サ80800-^モ80400-^モ80500-ク80600→近鉄名古屋】となります。(^はパンタグラフの位置)

また、検査の関係からモ80700-サ80800との間にはそれぞれ簡易運転台が設置され、検査時に4両編成に分割できるようになっています。

【改良点】新型名阪特急「ひのとり」では終着駅についても「パーン」と大きなブレーキ音がなくなる 電気指令式空気ブレーキ装置が導入

近鉄50000系しまかぜでは「パーン」というブレーキ音が聞こえる 余談だがこの時は鳥羽行きとして運転したしまかぜ

近鉄50000系しまかぜでは近鉄名古屋などの終着駅に着くとブレーキを非常位置にするため「パーン」という破裂音がなっていましたが、新型名阪特急「ひのとり」では電気指令式空気ブレーキを採用したため、終着駅についても破裂音はしません。これは今後の登場する近鉄特急の車両にも受け継がれていくのではないでしょうか?

【改良点】新型名阪特急「ひのとり」では3号車に設置される喫煙ルームが従来より大幅改善

喫煙室は従来の近鉄特急と比較して煙が喫煙ルームから漏れにくいように大幅な改善が加えられました。煙草を吸う人と吸わない人の両方に配慮し、喫煙ルームの扉が開いても通路や客室に漏れないように空調を調節する設定になっているとのことです。定員は3名になっています。

今まで、喫煙車や喫煙ルームから禁煙車の客室にたばこの煙が流れてきていたため、近鉄の特急券売り場では「喫煙車と喫煙ルームから離れた座席をお願いします。」と頼む人を見かけたことがあります。

そういったことも「ひのとり」をはじめ、今後導入予定の特急車両で喫煙ルームからたばこの臭いが客室や通路に漏れなくなれば、喫煙ルームに対する乗客の印象も変わってくるのではないでしょうか?

新型名阪特急「ひのとり」の今後の予定

今後「ひのとり」に速達型(名阪甲特急)の名阪特急を譲ることになる「アーバンライナー」

新型名阪特急「ひのとり」は現在の名阪特急の顔である「アーバンライナー」を置き換えます。今後アーバンライナーは停車駅の多いタイプの名阪特急(名阪乙特急)として運行することとなります。また、これまで運用されてきたDXシートについては無くなるのではないかという噂もあります。(普通車へ改造も考えられます)名阪甲特急として「アーバンライナー」が走っているうちにDXシートは乗っておいた方がいいかもしれませんね。

「ひのとり」導入で古い近鉄12200系も間接的に置き換え・廃車へ

行一度行き先表示を0番の「名古屋・湯の山温泉」に戻さないと行き先を変更できない近鉄12200系

近鉄は特急車両のリニューアルを行ってきており、リニューアルを行った編成では比較的古い車両でもオレンジと紺色の「近鉄カラー」から白とオレンジを基調とした「新塗装」に変更してきました。

しかしながら、近鉄12200系という車両は近鉄特急のリニューアル工事の対象外の車両となり、「近鉄カラー」のまま特急列車の運用から引退します。

これは、アーバンライナーが名阪乙特急として活躍することに合わせ、近鉄12200系は2021年度末までに全車両が「特急列車の運用から引退」します。ただ、廃車にするとは一言も記載がないので、一部団体列車に転用されるのではないかと言われています。また、近鉄12200系は3月14日の近鉄ダイヤ改正に合わせ運用が減少し、運用離脱する編成が出ると噂されています。引退に合わせ近鉄12200系のNS51編成は登場時の復刻塗装が施されるなどの動きもあります。(地味なので分かりづらいですが)

今後は近鉄80010系HV12~14編成と近鉄80050系HV51~53編成の導入など、近鉄の新型名阪特急「ひのとり」の動きに注目していきたいですね。

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