8月7日よりのぞみ毎時12本ダイヤが発動しました。3月のダイヤ改正で始動しましたが今まで発動していたかったわけや、どうしてここまで高頻度な運行ができるようになったのかを解説します。
毎時12本を実現できた訳とは
のぞみ毎時12本ダイヤというのは文字通り「のぞみ」だけで1時間あたり12本運転をするということです。間隔に多少ズレがありますが、平均して5分間隔になりそこに「ひかり」や「こだま」も加わりますから3分間隔になる時間もあります。そんなのぞみ毎時12本ダイヤですが、3月のダイヤ改正で始動したにも関わらずなぜ8月に発動したのでしょうか。
のぞみ毎時12本ダイヤというのは「定期列車」と「臨時列車」を合わせて12本です。そのため新型コロナウイルスにより臨時列車が運転されなかった関係で今まで発動していなかったのです。そもそも東海道新幹線は定期列車と臨時列車の区別がつきずらいのです。急な変化に柔軟に対応できるようにほとんどが臨時列車で定期列車は毎時数本しかありません。
時刻表を見れば1時間ごとの1,3,5号といった順番通りの便が異様に少ないことがわかります。号数には法則性がありのぞみの場合1号~64号,72号,75号~118号,200号~265号(一部運休あり)が定期列車で70号,130号~191号,270号~473号は臨時列車です。これ以上に細かな法則がありますがここでは割愛します。
これに基づけば定期列車は1時間に数本しかないことになりますが、実際には閑散期でものぞみはこれ以上走っています。臨時列車という扱いではありますが、ほぼ毎日のように走っている便があるからです。そのため何をもって臨時と定義するかは非常に難しいのです。
話が逸れましたがなぜ今まで実現できなかったのに3月のダイヤ改正で始動できたのでしょうか。その理由としてまずは車両性能は統一されたことは挙げられます。ダイヤ改正以前までは旧型の700系が混在していて座席数が異なっていたり加速力が低いのでダイヤや運用を組むのに厄介な存在でした。ところがそれが全て引退し加速力がより高いN700Aで統一できたので高頻度な運行が可能になりました。
それ以外にも東京駅では折り返し時の清掃等をする時間を12分から10分に短縮したり、列車がより高い速度でホームに進入できるようにATCブレーキがかかり始めるタイミングを見直しました。また、ある設備が設置されました。
ある設備というのは「開通予告表示灯」と呼ばれるものです。今まではポイントが切り替わり出発信号機が変わってから出発の準備をしていましたが、この設備によりポイントが切り替わる前に早めの準備ができるようになったのです。いわばフライングですね。この設備は今のところ東京駅にしかありません。
こうした1秒単位の積み重ねでのぞみ毎時12本ダイヤが実現できたのです。JR東海の今まで培ってきた高い技術力の結晶です。
「ひかり」や「こだま」もあるので3分間隔の時間もあります。東京から博多の1000km以上の距離を結ぶ列車が3分に1本来るというのは恐ろしいですね。また出発と入線は1分ごとに行われています。ここまでのぞみが多いと静岡県内に停車する列車が少なく感じます。もちろん大井川の件もありますがリニアで揉めるのも無理ないですね。
実はJR東日本も東海道新幹線に負けない高頻度なダイヤを実現しています。途中で何回も分岐しているせいで「東北新幹線」「上越新幹線」といった路線単体で見ればあまり多そうではないですが、東京から大宮だと毎時15本走っています。路線が分岐したり速達以外にも各駅停車タイプもあるので単純な比較はできませんが、規則正しく4分間隔で列車が来るというのはすごいことだと思います。
これだけの高頻度なダイヤだけあって、乱れでもしたら相当大変なことになると思います。現に帰宅時間帯に東海道新幹線が運転見合わせをする事態が起きた時は、毎時12本ではなかったもののとても大きな影響が出ました。少しの遅れも大きく響くので、みなさんもお見送りや駆け込み乗車には気をつけてみてはいかがですか。
本記事に掲載されている写真の一部は鉄道系ユーチューバーのがみさんから提供していただきました。