7月28日、JR東日本は利用の少ない線区の経営状況を開示しました。
地方路線の衝撃的な実態
JR東日本はこれまでも開示していた駅別乗車人員や、路線別の平均通過人員および旅客運輸収入のデータに加え、利用の少ない線区の経営情報を開示しました。理由については、地域の方々に現状をご理解いただくとともに、持続可能な交通体系について建設的な議論をさせていただくためとしています。
- 収支各線:区の運輸収入から営業費用を引いた値。
- 営業係数:各線区の営業費用を運輸収入で割り、 100をかけた値。
- 収支率:各線区の営業費用に対する運輸収入の割合を百分率で示した値。
2020年のデータによれば、羽越本線の村上〜鶴岡が52億5500万円の赤字であることがわかります。その次は奥羽本線の東能代~大館の32億9000万円の赤字です。
しかし、収支よりも注目されるのが営業係数です。これは、100円稼ぐのにいくらかかるかの指標なので、路線の長さや規模に左右されにくいです。
営業係数が最も悪いのは陸羽東線の鳴子温泉~最上で22149、磐越西線の野沢~津川で17706です。
今回営業係数が関東としては非常に悪くて話題になっているのが、久留里線の久留里~上総亀山の営業係数17074です。つまり、100円稼ぐのに1万7074円かかるということです。規模が小さいので赤字額は2億7400万円に留まりますが、単位あたりではワーストクラスで赤字路線です。
久留里線は、千葉県木更津市の木更津駅から君津市の上総亀山駅を結ぶ路線で、千葉県にある路線です。木更津~久留里の営業係数は1367とまだマシなので、末端区間が極端に悪いことがわかります。2019年は営業係数15546だったので、さらに悪化しているということです。
JR東日本の深澤佑二社長は7月5日の定例記者会見で、このデータを公表すると予告したと共に「赤字の絶対額も大きくなり、(バス路線への転換などを)議論しないと、地域交通として維持できないという思いがある」と発言しています。