記録的豪雨の影響で西日本を中心に各地で鉄道に被害が出ました。相次ぐ運休でネット上では「急乗承」と押された切符が話題となりました。もし自分が乗っている列車が大幅遅延・運行不能になったらどうなるのか解説していきます。

事故時の払い戻しの制度は知っておかないと損 「事故列変」と「急乗承」とは?

まず最初に「事故列変」と「急乗承」についてです。

「事故列変」は払戻し対象の切符が使用前である場合です。主に乗ろうとしていた列車が事故などにより運行不能又は遅延で、後続の列車に乗らざるを得ない場合です。以下のいずれかの救済がされます。

  • 当日中の他の指定券に変更し、過剰額は払いもどしし、不足額は収受しない。
  • 原券が指定席特急券の場合で、変更後の列車が満席のために自由席になったときは、既に収愛した特急料金の半額及びグリーン料金又は寝台料金の全額を払いもどしする。

「急乗承」は乗車している列車が途中で運行不能又は到着時刻が2時間以上遅れた場合です。以下の両方の救済がされます。

  • 後続の急行列車により旅行を継続させる。
  • 既に収受した急行料金・グリーン料金は全額払いもどしする。

サンライズが運行不能になった場合

今回はサンライズを例に紹介します。全ての列車にいえることですが、特にサンライズは広範囲で運転するため、天候などにより途中で運転を打ち切る場合があります。そうなった場合の救済が「急乗承」です。

注意点としてサンライズは「寝台特急」です。「既に収受した急行料金・グリーン料金は全額払いもどしする」と紹介しましたがここに寝台料金は含まれていません。なのでサンライズで「急乗承」されたとしても払い戻されるのは特急券のみです。

しかし寝台料金が払い戻される場合もあります。寝台料金の払い戻しは朝6時まで寝台を利用した場合を除き行われます。言い換えれば朝6時までに運行不能になった場合、払い戻しの対象になるということです。寝台料金は宿代みたいなものですから、このような取り扱いなのですね。

サンライズで途中で打ち切りになった場合は基本的に新幹線と特急を乗り継ぐ形で目的地へ行くことになります。ちなみに特別急行列車の遅延による新幹線への「急乗承」は司令の指示がなければできません。運行不能の場合は新幹線への「急乗承」が可能です。ただし司令の指示がある場合を除き「のぞみ」は乗車できません。

規則上はこのようになっていますが、便宜上のぞみの指定席を手配してくれるようです。

災害等により目的地にたどり着けない場合

「無賃送還」と聞くと思い浮かべるのは乗り過ごしや誤乗だと思います。今回は災害等により旅行の継続が困難になった場合、出発点まで無賃で戻ることができる「無賃送還」を紹介します。

簡単に説明すると、災害等で目的地までたどり着けなくなった場合、きっぷを無手数料で払い戻し無賃で出発点まで帰ることができます。ただし注意点があり、気をつけないと損をしてしまう可能性があります。

まず基本的に新幹線の場合は新幹線で、普通列車の場合は普通列車での無賃送還となります。普通列車を利用していた場合は差額を払ったとしても新幹線や特急に乗車できません。またグリーン車等を使っていた場合は原則として同じ設備となります。

経路も原則同じである必要がありますが、災害等によりそれが困難な場合迂回路が案内される場合があります。青春18きっぷ等の特別な切符ではこのルールは適用されませんし払い戻しもありません。

最大の注意点として「途中下車」というものがあります。無賃送還は途中で途中下車がされていた場合でも出発点まで無賃で帰してくれます。ただし払い戻しは最後に途中下車した地点から目的地までの間のみです。出発点から途中下車した地点までは旅行が完了しているとみなされるので、乗車券等は払い戻されず差額精算されます。また無賃送還中は原則途中下車ができないため、普通列車はかなり地獄だと思います。

無賃送還を利用するにあたり宿泊してから戻ることができるのかですか、結構厳しいと思います。無賃送還は直近の列車で戻る必要があるため、引き返す駅に滞在するといったことはできません。しかし運休等によりその日に戻れない場合は宿泊が認められる場合があります。そこら辺は柔軟な対応がしてもらえると思います。

ただし一旦下車することになるので、乗車券の全額払い戻しはされない可能性があります。いずれにしろ窓口との交渉次第です。

まとめ

少し難しいルールですが知らないと受けられないかもしれないので、覚えておくと便利です。わからなくても窓口に相談すれば大抵対応してもらえます。

またどのルールも(特に無賃送還)はすぐに申し出る必要があります。運休を知らなかったは通用しないのがシビアなところです。

災害などで列車が運休してしまった場合には活用してみてください。

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