11月12日、JR東日本は来年度より湘南ライナーなどを特急「湘南」に置き換えると発表しました。今まで試運転では方向幕に特急「おだわら」と表示させていたのに一体なぜ変更させたのでしょうか。
最近の特急の愛称は拒絶されまくり?
JR東日本は2018年9月3日に「はちおうじ」「おうめ」「おだわら」を商標登録を申請しました。ところが2020年7月26日に拒絶理由通知書が出されJR東日本側も意見書を提出しなかったため2020年1月10日いずれも拒絶査定になりました。
ではそもそもなぜ拒絶されてしまったのかを拒絶理由通知書を元に解説します。
第3条第1項第6号(第1号から第5号までのほか、識別力のないもの) この商標登録出願に係る商標(以下「本願商標」という。)は、「おだわら」 の文字を標準文字で表してなるところ、これは「小田原」(神奈川県南西部の市 。古来箱根越え東麓の要駅。戦国時代は北条氏の本拠地として栄えた。もと大久 保氏11万石の城下町。かまぼこなどの水産加工、木工業が盛ん。人口19万9千。[ 出典:株式会社岩波書店 広辞苑第六版])を平仮名で表したものです。 そして、小田原(おだわら)は鉄道の駅名としても知られた地名です。 そうすると、本願商標をその指定役務に使用しても、指定役務の提供に際する 立ち寄り地(駅名)を表す地理的名称として認識するに止まり、需要者が何人か の業務に係る役務であることを認識することができず、自他役務識別標識として の機能を果たし得ないものと認めます。 したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第6号に該当します。
拒絶理由通知書 (商標出願2018-110491)より理由部分を抜粋
これだけではわからないので拒絶理由を要約すると
- 「おだわら」の文字が標準文字でロゴなど独自のものではない
- 「おだわら」とは地名の「小田原」を平仮名で表しただけである
- 小田原(おだわら)は鉄道の駅名としても知られた地名である
- 上記の理由で仮に商標として認められても地名として広まっているから識別力が低い
なので食べ物で例えるなら「ハンバーガー」や「ラーメン」などは拒絶されるのですが「夕張メロン」は認められたそうです。
「はちおうじ」「おうめ」は結果を待たずにダイヤ改正を迎えてしまったため無登録のまま使用していることになります。もちろんなんの問題もないのですが、普通に考えて地名そのままが商標になるわけないので、JR東日本は単に試したかったのではないでしょうか。
試運転で表示された特急「ひらつか」に関してはそもそも申請すら確認できませんでした。特急「湘南」もさすがに懲りたのか同様のようです。
ちなみに「あずさ」は11件商標登録されておりJR東日本は「旅客車による輸送」でした。当たり前ですが「富士回遊」も方向幕のイラストも含めて登録されています。余談ですが今まで特急の愛称はほとんど平仮名でしたが今回は漢字なのですね。