JR東日本新幹線統括本部は新幹線電車の台車検査・全般検査周期の変更を変更する意向を示しました。

JR東日本、検査周期延伸へ

新幹線車両は技術革新や新しいシステムの導入等により、機器の品質向上や耐摩耗性及び耐久性の向上による長寿命化を図ってきました。

国鉄労働組合東日本本部によると、新幹線統括本部は上記のことを2015年10月に国土交通省に説明をした上で、運輸局に台車検査・全般検査の入場期限を延長して走行する試験車両の新幹線電車整備実施基準の変更届出を行いました。部外有識者による委員会を設置して、台車検査、全般検査に関する検証を実施してきたとしています。

その上で、検査結果により延伸が可能であるとの評価を得たことから、今後社内の規程を改訂し運輸局に変更届を提出して実施することになりました。

JR東日本は既に2017年4月に交番検査周期を延伸しています。今回の周期延伸は検査歴など条件はあるものの未全検車と2月以降に全般検査を施工した車両が対象となります。

実施内容

1.適用時期 2021年2月15日~以降、全般検査を施行した車両より順次適用
2.対象形式 E5系・E6系・E7系
3.実施内容 台車検査・全般検査の検査周期を以下に変更
(1)台車検査
「18ヶ月または60万㎞を超えない期間」→「80万㎞を超えない期間」
(2)全般検査
「36ヶ月または120万㎞を超えない期間」→「160万㎞を超えない期間」

検査内容にも変更あり

試験車両での検証結果等を踏まえ、検査周期延伸後も車両の品質を保つために、以下の装置について検査内容を変更します。

電動空気圧縮機

全般検査入場から出場までの間に実施していなかったスクリュー式電動空 気圧縮機の油分エレメント交換を、60万kmを超えない周期で行います。

台車枠

昨今発生(京成電鉄の台車枠亀裂等)した台車亀裂の事象を受けて、以下の装置について検査内容を変更します。

・E2系、E3系、E4系、E5系、E6系 、E7系の台車について、現行の2全検 周期を毎全検周期での探備検査とします。

・周期延伸適用後のE5系、E6系、E7系については、運用中の台車の異常を検知する装置が稼働するまでの期間、全般検査と全般検査の間で実施している台車検査においても、暫定対策として操傷検査を実施します。

※上記内容については、新幹線電車整整備基準(規程)及び台車枠検査マニュアルに明記します。

組合側と会社側とのやり取り

組合側と会社側とのやり取りも公開されたので掲載します。

【主なやり取り】
<組合側>
・部外者有識者による委員会とはどのようなメンバーで設置したのか。
<会社側>
・鉄道に関する省令で定められ、鉄道事業者だけでなく、部外の方を入れることが記載されている。これに基づき、当社の委員会では大学教授、鉄道総研、国の機関である交通安全環境研究所で構成し委員会を進めてきた。
<組合側>
・なぜ、適用時期を2月15日以降としたのか。
<会社側>
・国からの認可のタイミングと各労働組合との議論の担保や、次年度の車両修繕費への影響を考慮した。2月15日については実施基準上の適用時期であり、3月11日に出場する編成から適用することとした。また、台車枠の探傷などは前倒しで発生するので、3月11日の車両に間に合わせるために、この適用時期とした。
<組合側>
・この間、仙台支社ともテストカーについては議論をし、当初ディスクの摩耗が限度を超えていたりし、1つの問題であったがクリアーされたという認識で良いのか。

<会社側>
・台車検査の値に対するブレーキディスクの摩耗については、全般検査時の摩耗量の規程があり、幹総として管理するため、その数字を半分に割った数字を台車検査時の出場の値としてきたが、今回のテストでは、全般検査の値を割らなかった結果となった。
<組合側>
・台車亀裂については、安全担保の要であり、事象に鑑みて前全検・台検で探傷をしていくとの認識で良いか。
<会社側>
・その通りである。
<組合側>
・油分離エレメント交換についは、60万㎞を超えると何か不具合があるのか。
<会社側>
・取替周期を定めていなかったが、今回の試験で60万㎞を超えたあたりから分離性能が下がってくるというメーカーの見解があり、今回改めて定めた。
<組合側>
・全検の関係で分割併合装置の電気連結器の押し棒がどのくらい摩耗していくのかのデータはあるのか。
<会社側>
・押し棒の摩耗までは測定はしていない。今までは、段摩が起きるという疑いが無かったことから、目視で確認し段摩が有る状態で取り替えてきた。
<組合側>
・分割した際に電気連結器のカバーが閉まらなくなる要因の1つが、段摩と認識をしている。
<会社側>
・その通りである。従って、目視での検査を行っている。また、押し棒の摩耗を測るのは、全般検査で確認をしている。
<組合側>
・幹総の業務量とリンクするが、次年度の要員関係はどの様になっていくのか。
<会社側>
・業務量提案については早急に日程設定したい。
<組合側>
・了解した、本日はここまでとしたい。

JR東海も同様に検査周期延伸に

JR東海は2017年の時点で情報を公開しており、検査周期延伸のため2017年7月から2020年7月までG1,7,19,20,21,22,42編成の7編成で走行試験を実施しました。こちらは台検は20ヵ月または80万キロ以内、全検は40ヵ月または160万キロ以内を目指しています。

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