JR四国は牟岐線(むぎせん)のうち、1.5kmにあたる阿波海南~海部間について「鉄道事業廃止届」を国土交通大臣に提出したと発表しました。
DMVの導入は阿佐海岸鉄道が世界初の事例となる予定です。
路線自体は実質継続へ 廃止後は阿佐海岸鉄道が継承する予定
JR四国から牟岐線(阿波海南~海部間)の2021年8月31日に廃止とする「鉄道事業廃止届」が提出されていますが、同時に阿佐海岸鉄道の阿佐東線が「鉄道事業許可」を申請しています。
確かにJR四国としての路線としては「廃止」ということになりますが、実質的には阿佐海岸鉄道が「継承」をしていく形となります。(路線そのものが消えてなくなってしまうわけではありません。)
阿佐海岸鉄道では「車として走る機能」「鉄道として走る機能」を併せ持ったDMV(デュアル・モード・ビークル)が導入され、既にその車両は製造され京都鉄道博物館にて展示がされています。
元々JR北海道で実験していたが実用化されず 悲願の世界初のDMV導入
元々DMVはJR北海道の苗穂工場で実用化向け試験・製造がされていたものでした。2002年から開発を始めたものの「DMVと無関係に多発した脱線事故」「JR北海道の経営状況」の悪化でJR北海道での実用化はされませんでした。
しかしながら、実用化はされなかったものの、その時JR北海道で開発された技術は継承されました。阿佐海岸鉄道ではDMVを活用し、将来的には室戸岬までの観光資源として運行が計画されています。
2020年現在、DMV自体は世界中どこを探しても実用された事例がないため、「世界初のDMV」を導入した路線ということになります。今後DMVは合計で3台導入される予定で、DMVは「乗車人数が少ない」という欠点がありますが、反面通常の鉄道にはない「レールのない市街地への乗り入れなど小回りが利く」という利点があります。
阿佐海岸鉄道では2020年度中に導入する計画が以前から発表されており、JR四国は2021年8月31日の廃止予定日について「関係者への意見聴取を踏まえ、繰り上げが認められれば、繰り上げる予定です。」とのコメントを出しています。
現在牟岐線は「2020年7月18日から当面の間」バスによる代行輸送を行っています。これはDMV運行開始に向けての工事を行っていることが原因です。
今後の「世界初」の導入となる阿佐海岸鉄道のDMVの導入について、今後注目していきたいですね。