今回は名古屋から岐阜までは「多治見より近かった」という衝撃の結果についてまとめました。名古屋近辺に住んでいる方でも「意外と知らなかった」という声も挙がっています。

なぜそうなってしまったのか、詳しく説明します。

【名古屋~岐阜】実は東京~新宿と所要時間は同じ 山手線の内側みたいなもの

改めて名古屋~岐阜・多治見の位置関係をおさらいしましょう。岐阜・多治見は共に愛知県ではなく岐阜県に位置しています。多治見は山を越えた先にあり、岐阜は橋を木曾川を渡った先にあります。

今回記事にしたきっかけは岐阜県知事が新型コロナウイルスの影響でのTV取材の中で次のように発言したことです。

「岐阜市と名古屋市は電車で20分。東京でいえば東京駅から新宿駅。山手線の内側なんですよ」

名古屋市と岐阜市の関係を東京都に住んでいる人にも分かりやすく伝えるために発言しました。

もちろんそれは事実で間違ったことではないのですが、一方で地元の人たちからすると「多治見の方が近いと思っていた」「岐阜市の方が近いなんて」という声が聞かれました。そこで今回疑問を解決するために詳しく見てみましょう。

名古屋からは「岐阜の方が近い」「多治見が近い」 実はどちらも正解 

実は名古屋から「岐阜の方が近い」「多治見の方が近い」というのはどちらでも正解です。問題は「時間で見るか」「直線距離で見るか」ということです。

まず直線距離から見てみましょう。名古屋~岐阜までは約30km、一方で名古屋~多治見までは約20km。こう見ると確かに「多治見の方が近い」という結論になります。

一方で時間で見ると名古屋~岐阜は快速で21分・新快速で18分、名古屋~多治見までは快速で36分・特急でも24分です。特急を使ったとしても名古屋~岐阜間の新快速の18分には及ばす、「岐阜の方が近いという結論」になります。

ただ、直線距離で見るのは適切ではないと筆者は考えます。確かに東海道線は線形がほぼ直線なので、直線距離を使用したとしてもおおむね正解になるでしょう。しかしながら、中央本線の場合、市街地を抜けるため・山越えのため若干迂回している経路になっています。そのため直線距離では20kmですが、実際に列車が走る道のりは36km。直線距離から約16km乖離しています。

なので、「岐阜の方が近い」というのは所要時間と実走行距離を見ると明らかなわけです。東京~新宿間も東京メトロ丸の内線で20分。所要時間でいえば東京~新宿ですが、実走行距離は約10km。東京から中央線に乗って国分寺に行くのと、名古屋~岐阜間はほぼ同じ距離です。ちなみに名古屋~多治見間も東京~立川間に相当します。これが東京~国分寺だと40分、東京~立川だと47分もかかります。

いずれにせよ、名古屋~岐阜間を走る新快速電車は同じ時間で3倍もの距離を走る電車があるということは、全国的に見れば「比較的珍しいこと」です。一般の方は全然気にしなかったかもしれませんが、料金不要で130km/hで爆走する列車を走らせていることはありがたいことです。(車でいえば、高速道路にタダで乗せて貰えているようなものですね。)運行会社であるJR東海に少しは感謝してもいいかもしれませんね。

ちなみに名鉄で行くと570円で100円高くて特急で29分。全国平均から見ればこちらの方がある意味「普通」です。JR東海の新快速・快速電車がかなり速いことが分かります。展望席を楽しむならこちらの方かもしれません。

中央線といっても東京の人に説明するのと、名古屋の人に説明するのと、同じ中央線でも訳が違うのでこれまたややこしい。名古屋から名古屋から長野県の塩尻を通り、新宿を経由して東京へ「1本の路線で」行くことができます。しかしながら、現実には東海道新幹線・東海道線が一番速いのでそのルートで行く人は「あえて選んでいる人」かもしれません。

もしもこの記事を見た後に「名古屋~岐阜の方が近い」「名古屋~多治見の方が近い」という議論になった時は、それは時間や実走行距離で聞いているのか、ということを確認すると少し鼻が高い説明ができるかもしれません。

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