南武線 混雑
たくさんの乗客が待つ武蔵小杉駅に進入する南武線E233系8000番台。筆者撮影

南武線とは?運行区間や乗り換え路線について

神奈川県の川崎駅と東京都の立川駅を結ぶ南武線。

東京都心と直接つながっている路線ではありませんが、京王線や小田急線、中央線・京浜東北線など一度乗り換えれば東京都心に直通できる路線と多く接続していることから沿線の都市化の進展が著しい路線のひとつでもあります。

2008年に発表されたJR東日本の長期経営計画「グループ経営ビジョン2020-挑む-」において、サービス向上の重点路線として横浜線・武蔵野線・京葉線とともに「東京メガループ」に指定されました。

その後、2011年に快速運転が復活。

2014年10月にはE233系8000番台が運転を開始し、2015年に稲田堤~府中本町間の連続立体交差化工事が終了しました。

2017年に本線の運用はE233系に統一されましたが、沿線の都市化はさらに進展しており、混雑はなかなか改善の兆しがありません。

今回は南武線の混雑率やJR東日本の取り組みについてご紹介いたします。

南武線ユーザーの方にはおすすめの内容となっておりますので、是非最後までお読みください。

南武線の混雑状況~混雑率・混雑区間・混雑の原因は~

南武線 E233系8000番台
武蔵中原駅に進入するE233系8000番台。筆者撮影

まずは、南武線の混雑率などのデータをもとに、南武線の混雑を考察していきましょう。

南武線の混雑率と混雑時間帯

最新データである2019年度の南武線の最混雑区間は武蔵中原~武蔵小杉間で、混雑率は182%です。

朝ラッシュでいつも混雑が激しいイメージのある京浜東北線と混雑率が同じであり、同じ東京メガループの横浜線(169%)、武蔵野線(170%)、京葉線(173%)と比べても非常に混雑していると言えます。

最も混雑が激しい朝7時半から8時半の間は混雑率が190%を超える列車もあるんだとか。

これには、いくつかの要因があります。

南武線が混雑する原因

一つは、南武線の両数が6両とほかの路線(8両~10両)よりも短いこと。

両数を伸ばしてほしい…と願っている南武線ユーザーは数多くいらっしゃると思いますが、駅のすぐそばに踏切がある駅が多く、ホームを伸ばすためには沿線自治体との協議が必要なのです。

現状では編成の短さを運転本数でカバーし、ラッシュ時は山手線のラッシュ時運転本数を上回る毎時25本もの列車を運転することで対応していますが、依然混雑率は横ばいという状況です。

もう一つは、南武線の線形と駅間の短さ。

南武線の線形は比較的良いとされ、最高時速は95km/h。

しかし、武蔵溝ノ口から登戸の間は特に駅間が短いほか、前記区間や南多摩駅の前後には半径300~400m級の急カーブが点在しています。

したがって、なかなか最高時速での運転ができないうえにラッシュ時は本数が多いため遅延も生じやすく、駅間の短い区間では抑止や延発なども発生。

これらも混雑悪化の遠因となっているのです。

稲田堤~府中本町間では連続立体交差事業が行われたため踏切がかなり減少しましたが、混雑は横ばいのまま。

もちろん、JR東日本や沿線自治体も手をこまねいて見ているだけ、というわけではありません。 次は、JR東日本や沿線自治体が行っている混雑対策についてチェックしていきましょう。

南武線の混雑対策

南武線 撮影地 武蔵小杉
武蔵小杉駅に進入する南武線E233系8000番台。筆者撮影

ここでは、JR東日本や沿線自治体が行っている南武線の混雑対策について学んでいきます。

連続立体交差事業の拡大

川崎市は、尻手~武蔵小杉間の約5.5kmを立体交差化することを目指して事業調査に着手することを発表しています。

川崎市議会の議事録によれば、事業期間は2020年度からおおむね20年程度。

しかし、新型コロナウイルスの感染拡大で川崎市の財政が厳しくなり、2020年度の都市計画決定は見送られました。

今後については2021年度第3期実施計画で検討結果が明らかになるとのこと。

JR東日本も新型コロナウイルス関連での減収減益はあるものの工事実施には前向きで、事業費削減や工期短縮に向けて協力する姿勢を示しています。

JR東日本アプリでの混雑状況提供

JR東日本では、スマートフォン向けアプリ「JR東日本アプリ」にて、首都圏の各路線の混雑状況をリアルタイムで把握できる「リアルタイム混雑情報提供サービス」を提供しています。

南武線も対象に含まれており、「列車走行位置」画面で走行中の列車のアイコンをタップすると、混雑状況が5段階で表示される仕組みです。

新型コロナウイルスの感染拡大対策で三密を防ぐ狙いもあり、混雑状況の情報提供をすることで時差通勤やテレワークの推進を呼びかけています。

夕方ラッシュ時の快速運転開始

2019年3月16日のダイヤ改正より、平日夕方の時間帯に快速運転を行うようになりました。

内訳としては17~19時台に川崎始発稲城長沼行き、18~19時台に登戸始発川崎行きが各4本ずつです。

川崎駅から帰宅する乗客や都心から沿線に帰宅する乗客にも対応し、混雑を少しでも減らそうという狙いがあるのでしょう。

コロナ禍になってから首都圏の鉄道の混雑は少し減った印象もありますが、緊急事態宣言の有無によって混雑状況も大きく変わります。

ウィズコロナの鉄道利用がどうなっていくのかも、もう少し見守っていく必要がありそうですね。

まとめ

南武線 撮影地 登戸
登戸駅に進入するE233系8000番台。筆者撮影

南武線の混雑について学んでまいりました。

・南武線の混雑率は182%と高く、編成長が短いことや駅間の短さなどが影響している

・JR東日本や沿線自治体が様々な対策を行っている

ということがお分かりいただけたのではないでしょうか。

首都圏有数の混雑が続く南武線ですが、現在行われている対策が実って、少しでも混雑が緩和されることを願っています。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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