新宿駅にて、筆者撮影
朝夕ラッシュ時には、首都圏随一の混雑模様を呈する小田急線。
神奈川県及び東京都のベッドタウンと都心を結ぶ小田急線が混雑するのはある意味必然ではありますが、どの時間帯にどの区間が混雑するのかを知っておくと、その時間に小田急線に乗った際に工夫のしようがあるというもの。
今回は、小田急線の混雑率などの公式データを基にして、小田急が混雑とどのように向き合っているのかを解説していきます。 是非、最後までご覧ください。
目次
1.小田急線で一番混雑率が高い区間と種別
2.小田急線の混雑対策
3.まとめ
小田急線で一番混雑率が高い区間と種別
ワイドドアの1000形 片瀬江ノ島駅にて、筆者撮影
小田急電鉄の発表によると、小田急線でラッシュ時に最も混雑する区間は世田谷代田~下北沢間で、2017年時点での混雑率は194%でした。
その後2018年3月のダイヤ改正で登戸~代々木上原駅間の複々線工事が完成し、2019年時点では158%まで改善しています。
190%を超える状態では体が触れ合ってやや圧迫感がある状態でしたが、現在は楽な姿勢で新聞や雑誌を読める状態になりました。
最も混雑する種別は快速急行で、特に新宿駅の出口が近い10号車から8号車付近が混雑するようです。
多摩線から直通する通勤急行は新百合ヶ丘駅で快速急行と接続して後を追う種別のため、比較的混雑率が低い傾向にあるようです。
通勤準急は成城学園前駅と経堂駅で各駅停車に連絡しますが、登戸駅で快速急行と接続するために通勤急行よりも混雑率は低いです。
なお、最も混雑が少ないと言われているのは向ヶ丘遊園駅始発の各駅停車です。
ここまでで、小田急線の混雑区間は昔から変わらないものの、複々線の供用開始に伴い混雑率は改善してきていることがわかりました。
また、種別ごとで混雑がだいぶ異なることもわかりましたね。
ここからは、複々線事業を含め、小田急線が実施している混雑対策について詳しく見ていきましょう。
小田急線の混雑対策
新百合ヶ丘駅に進入する快速急行新宿行き(1000形、右)と、多摩線から直通の急行新宿行き(E233系2000番台、左) 筆者撮影
混雑区間や混雑率の推移について見てきましたが、小田急は混雑に対してどのような対策を行っているのでしょうか?
ここでは、小田急線が行っている混雑対策について見ていきます。
小田急線の複々線事業
小田急では代々木上原~向ヶ丘遊園間で複々線化事業を行っており、ラッシュ時の所要時間短縮と混雑緩和を目指しています。
2018年3月に全区間が完成しましたが、登戸~向ヶ丘遊園間については沿線の土地区画整理事業との兼ね合いで暫定的に上り2線、下り1線で整備されています。
小田急は複々線事業実現によるラッシュピーク時間の輸送改善を、
・混雑緩和による快適な輸送環境の提供
・所要時間短縮による都心方面へのアクセス向上
・千代田線直通列車増発による都心中心部への利便性拡大
の大きく3本の柱として整理しています。
複々線化したことによってラッシュピーク時の本数が27本から36本に増加し、混雑率は194%(2017年)から158%(2019年)に大幅に改善しました。
8時台に新宿駅に到着する列車の所要時分も改善し、町田駅からでは48分から38分に。10分も短縮されました。
千代田線方面への列車は5本から12本へ増え、大手町方面への通勤客の利便性向上も図りました。
小田急線の混雑状況をリアルタイムで小田急公式ホームページに提供
小田急電鉄は、2020年5月26日から主要駅(新宿、新百合ヶ丘、町田、本厚木、藤沢)のラッシュ時間帯の利用状況を毎週公式ホームページで公表しています。
新型コロナウイルスの感染拡大を背景に、混雑状況を可視化することでオフピーク通勤を推奨する狙いもあるようです。
小田急線アプリの混雑状況表示画面
また、小田急線公式アプリ「小田急アプリ」では、小田急線各駅の改札口付近のリアルタイム映像を配信。
鉄道・バス情報画面では5000形・4000形の一部車両における混雑状況を車両ごとに確認できます。
昨今は新型コロナウイルスの拡大という思わぬきっかけで、混雑に対してより真剣に向き合う必要性が出てきています。 新年度に入り、現時点では緊急事態宣言も発出されていませんが、今後より注意して混雑をあらかじめ確認しておくことが必要ですね。
まとめ
小田急線の最新型5000形 玉川学園前~町田間にて、筆者撮影
小田急線の混雑について見てきましたが、いかがでしたか?
整理すると、
・小田急線の最混雑区間は世田谷代田~下北沢間で、複々線化により改善しつつある
・複々線化により混雑緩和、所要時間の短縮、千代田線直通列車の増発が実現した
・小田急の公式HPやアプリで混雑状況をあらかじめ把握できる
ということがわかりましたね!
小田急線は神奈川や東京郊外と新宿を結ぶ一大動脈。
都市が多いため沿線の混雑は仕方のない部分もありますが、そんな中でも小田急の創意工夫を感じることができました。
新型コロナウイルスの感染拡大を受けて、ますます注意が必要な乗客の混雑対策。
いま一度、ご自身の通勤・通学時間を、最新の情報で見直してみてはいかがでしょうか。
最後までお読みいただき、ありがとうございました!