JR東日本は2022年春から山形新幹線「つばさ」を全列車指定席化すると発表しました。定期列車が全席指定席されるのは「つばさ」では初めてのことです。
利用者によっては「実質値上げ・値下げ」が行われ、高くなる人と安くなる人に分かれることになります。
山形新幹線「つばさ」全席指定席化 一体なぜ?
今回山形新幹線「つばさ」の全席指定席化の理由として最繁忙期に混雑が著しく「自由席のために長時間並ぶ不便さ」「始発駅に近い方が座れる」等の不公平感が課題となっていたようです。
そのため、今回全席指定席料金とし公平になるように制度を変更することになります。
指定席を利用していた人にとっては380円値下げに
今まで指定席を利用していた人は新幹線と在来線区間の指定席料金を別々に支払っていました。(新幹線区間530円+在来線区間380円。)
しかし、今回の全席指定席化で、指定席料金が380円値下げになります。これは在来線区間を別々に計算する制度がなくなり、新幹線区間と在来線区間を乗っても指定席料金は530円となるため、380円の値下げとなります。
またこの値下げは在来線区間のみ利用の場合に設定されている「特定特急券」も値下げとなり、おおむね70円~280円程度値下げとなります。(一部区間では料金変更なし。)
指定席を利用する人の他、在来線区間を利用していた人に値上げにならないように配慮した形となっています。
一方で自由席を利用していた人にとっては値上げとなりそうです。
また、同様に在来線区間を走行する「こまち」についても同様の改定が行われます。
自由席を利用していた人にとっては最大810円値上げに
今回の特急料金制度改定については値下げという側面や最繁忙期に指定席となることで、不公平感をなくすというメリットが大きく発表されているように思います。
しかしながら、最繫忙期というのは1年間でもわずかな日数であることや、2022年4月1日から「最繁忙期指定席料金」がこの山形新幹線でも導入される予定となっており、今まで自由席となっていた2両分の座席を930円多く取れることになることから、増収策という意味合いが強いのではないでしょうか?利用客が増加しているなら分かりますが、新型コロナウイルスの影響で利用客が減少している中では、値上げという見方をされても仕方ないのではないでしょうか?
閑散期の山形新幹線はほとんどの場合で自由席でも空席があり、指定席料金は支払わなくても乗る場合が多いです。今回指定席が設定されることによって、東京~福島間で530円、福島~山形で280円値上げとなる関係で、利用する区間によって最大810円の値上げが行われます。
JR東日本は新型コロナウイルス感染拡大や社会生活の変化等で減収となっており、その一環として全席指定席化による通常期・閑散期の増収策が図られたものと思われます。
東京~福島間は自由席利用の人が「つばさ」に乗れなくなり不便に
また、全席指定席化されることに伴い、料金面だけではなく乗車そのものが出来なくなるため、不便になります。
東京~福島間で定期券でつばさの自由席を利用していた人は2022年春から利用ができなくなります。帰宅時間帯に東京~宇都宮間等で利用していた人、郡山~福島間等で利用していた人もいるかと思います。
しかし全席指定席化されることに伴い、「つばさ」車両への乗車そのものが出来なくなります。つまり、繁忙期にあふれた乗客は「やまびこ」しか乗ることが出来ず、車内混雑が激化する可能性があり、つばさは通路に人が溢れないという状況になることも考えられます。
自由席が埋まっていることなどを想定し、郡山~福島間のみ特定特急料金に指定席料金を足した額での販売もされるようですが、実質530円値上げされることになります。
今後、全席指定席化がどのような影響を与えるのか、繁忙期の状況に注目です。