鉄道車両は新造されてから20年から40年程度使用されると、金属で作られた車体や機器などの各種部品が老朽化したりすることから、いつかは廃車にされてしまいます。鉄道ファンの方は愛着を持たれるかもしれませんが、ある意味それは逃れられない運命なのです。

今回は2021年春のダイヤ改正で引退する・引退へのカウントダウンが始まる鉄道車両を5選ピックアップしてみました。

目次

【JR西日本】415系800番台交直流電車 導入の目的は?

時は1991年、JR西日本管内で、北陸地区にある七尾線津幡~和倉温泉間が、電化されることになりました。
これは大阪・名古屋方面からの特急電車の直通運転によるスピードアップや、普通列車の電車化などの目的でした。
しかし、七尾線は地方交通線で、駅の跨線橋や跨線道路橋などの高さと、車両の屋根の高さの間が十分ではないという理由から、工事費用の削減や、建築限界の縮小を図る目的で七尾線の電化方式は直流電化ということになりました。

一方で北陸本線の金沢~津幡間へも直通運転を行いたかったのだが、こちらは交流電化されています。こういった事情から、七尾線向けに普通列車用交流と直流の両方に対応した、いわゆる交直流電車というものが必要となったのだが、交直流電車というものは、新造するとコストが高くついてしまいます。

魔改造の方程式 113系+485系=415系+183系

ところで有名な魔改造の方程式として、113系+485系=415系+183系という方程式があります。(数学的な意味ではなく、あくまで魔改造的な意味です。)

これは113系と485系から、415系と183系を生み出したという意味で、これをJR西日本に当てはめてみましょう。

JR西日本は福知山地区で主に特急列車に使われていた485系が、直流区間のみの運用であったことに着目し、この485系から交流機器を引っこ抜いて183系とするする一方で、183系化された485系から引っこ抜かれた交流機器を113系に搭載することにしました。

こうして生まれた113系を交直流電車化した改造車こそ、415系800番台です。

実は113系からの編入だった 車齢は50年越えで引退へ

415系800番台は3両編成が11本、計33両が113系から改造編入されている。

しかしこの415系800番台、交流機器を抜き取られた183系が既に現役を退いた、今でも七尾線系統で一部がまだ走っていて、種車の113系が主に初期に作られた0番台などであることから、車齢50年を越えている車両も少なからず存在しています。

今後・2020年春521系投入で引退か

そんな415系800番台ですが、2015年3月の北陸新幹線長野~金沢間延伸開業とそれに合わせた並行在来線経営分離の際に、それまで北陸本線で稼働していた413系の一部が、七尾線にやってくることで2編成の415系800番台を置き換えていて、2019年12月には、直接的な後継車両となる521系100番台が登場し、10月から営業運転を開始しました。直通先で、かつての北陸本線の一部区間を引き継いだIRいしかわ鉄道保有分を含めて2両編成18本が既に製造済で、3月までに全ての七尾線関連の列車を521系100番台へ置き換え、415系800番台に関しては413系と一緒に引退となる予定である。
また、10月からの521系先行営業運転では、415系800番台が追加で2本運用を離脱していて、うち1本については既に廃車となっています。

【JR東日本】E4系新幹線 日本最後の2階建て新幹線

東北新幹線及び上越新幹線の開業時に大量に新製された200系初期車の老朽化が進行し、代替車両が必要であったこと、増え続ける新幹線通勤をする需要に対応するため、E1系に引き続き全車2階建て構造の新幹線として登場した車両がE4系です。

E4系は1編成あたりの両数をE1系の12両から、8両へと減らし必要に応じてミニ新幹線車両(E3新幹線)を増結したり、E4系を2編成連結して16両編成とすることなどで、様々な需要に応える方策を取る方針となっていて、8両編成26本、計208両が1997年から2003年にかけて製造されました。

E4系「MAX」の意味って何? E1系にも使われていた

先に登場したE1系同様、「Max」の愛称も与えられています。「マックスー」と呼ぶと遠ざかってしまう恥ずかしがり屋というキャラクターでCMが放映されました。

MAXは「マルチアメニティーエクスプレス(Multi Amenity Express)」の略称です。当時、2階建て新幹線やダイヤ改善に力を入れていたJR東日本は小泉今日子さんを起用してこのようなCMを行っていました。E1系新幹線の登場時にTVで放映するなど、かなりお金のかかったCMを作っていました。

もちろん、座席定員が最大なので「人数をたくさん乗せることができる」という意味でのMAXも掛けているのではないでしょうか?

E1系・E4系MAXの車体側面をよく見ると側面に書いたのを覚えている方もいるかもしれませんね。

【定員でギネス記録の新幹線】E4系のメリットとデメリット

E4系の1編成あたりの定員は817人で、これを2編成連結した際の定員数は1634人です。これは他の新幹線には大きなメリットです。
これは1本の高速鉄道の中では現在も世界最大の記録となっていて、ギネス世界記録にも掲載されていますが、今のところは大丈夫でしょう。

しかし、デメリットとしては2階建てとなるため、1つの編成当たりの重量が重たいことと、機器の艤装スペースが少なく、最高速度は200系とほぼ同等の時速240キロまでが限界であるため、速達性を求めるとなると限界が生じてくるようになりました。

特に東北新幹線の八戸延伸に伴って誕生した、E2系10両編成を使った「はやて」がデビューするようになってからは、東北新幹線で速達性に力を、最高速度が遅いE4系は「邪魔な存在」となってしまいました。

東北新幹線「MAXやまびこ」撤退 新幹線は定員よりも速達性重視へ時代が変化

その後、徐々にE4系は東北新幹線での運用を減らしていき、当時E4系が充当していた「Maxやまびこ」がE2系に徐々に置き換えが始まり、速達種別にE5系「はやぶさ」が充当されることで、2012年7月に東北新幹線大宮以北での定期運行を終了しました。

東北新幹線での居場所がなくなった後は、上越新幹線の主力車両となったものの、新聞報道ベースでE4系を2013年度から2016年度にかけて、全車廃車する予定としていたが、実際にはこの期間には数編成程度しか廃車は出ていませんでした。

E7系導入でE4は引退予定だったが、台風19号で延命

しかし2017年4月、2018年度より上越新幹線に北陸新幹線で走っている車両と同一形式である、E7系を順次投入することになりました。これには将来的な上越新幹線の最高速度向上の意味合いもあり、将来的には「日本一遅い新幹線(ミニ新幹線を除く)」上越新幹線の最高速度は時速275キロまで上がることになります。
そして、2019年3月より上越新幹線でもE7系が走り始め、E4系の廃車が加速的に進められていくこととなったと思われましたが、2019年10月に発生した台風19号の影響で千曲川が氾濫し、長野駅付近にある長野新幹線車両センターが浸水する被害を受け、E7系8本と、JR西日本所有W7系2本が水没し廃車となってしまいました。
これに伴い、上越新幹線に投入済みまたは投入予定のE7系を一旦北陸新幹線へ転用し、その補填として当面このE4系を延命して充てる方策が取られました。

E4系の引退予定は?いつ?

E4系の全般検査が2019年5月で終了していたところ、上越新幹線へのE7系投入開始後の2020年5月から6月にかけて、2編成が全般検査を受けていました。当初2020年度末まで引退するとしていた計画も最終的には2021年秋頃にE4系の運転を終了することが、2020年12月に発表され、この頃までに全編成が運用離脱となる見込みです。
なお、現在は13編成が廃車を含む運用離脱済となっていて、稼動編成数は残り半分の13編成となっています。(2020年12月現在)

【5扉車が終了】京阪5000系 3扉車運用も引退へ

京阪5000系は、1970年に登場した車両であり、全車が片側に扉を5つ備えた日本で初めての多扉車です。

5扉車が導入された理由 昔は電圧600Vで運転されていた

1970年当時の京阪本線は沿線人口が増大していたのにもかかわらず、それに耐えうるための設備投資が進んでおらず、混雑率が最大190%と非常に高かったということがあります。
これは架線電圧が路面電車との平面交差の都合から600Vのままとされ、1列車あたりの最大両数が7両に限られていたこと、などが間接的な原因となっていました。

話を戻しますが、こうした状況を改善するために、将来的な京阪本線の架線電圧の1500Vへの昇圧が1969年4月に決定され、高架複々線区間がそれまでの天満橋~守口市間から、天満橋~寝屋川信号場までに延伸する工事も1971年11月に着工されるなどしました。実現するためにはいずれも10年前後の長い期間が必要になり、それよりも工事中の諸作業が営業運転にも及ぼす結果となってしまいました。

これに対処すべく、本格的にダイヤ乱れの原因になりやすい普通列車の乗降時間を短縮し、かつ7両編成という限られた編成両数の中で、輸送力の確保を可能とするために開発されたのが、京阪5000系というわけです。

京阪600V時代には丹波橋で現在の近鉄奈良線との直通運転も

余談ですが、当時奈良電(現:近鉄奈良線)と直通運転をしていましたが、600Vから1500Vへ昇圧する際に直通運転が中止になり、京阪丹波橋~近鉄桃山御陵前までの短絡線は撤去されることになり、近鉄丹波橋が新設されることになりました。電圧変更を先にしたのは京阪ではありませんが、電圧昇圧するきっかけになったのは、時期的に可能性が高いと思われます。

京阪5000系の欠点は高コスト 昇降式座席など導入で

ただ京阪5000系は、昇降式座席をはじめ各部に特殊構造を採用し、またそれらによる重量増を相殺する必要があって、当時は高価だったアルミニウム合金製車体とし、京阪2400系などの既存の鋼製車体を採用した一般車と比べて製造コストが高いという欠点がありました。
それゆえ財政上の理由から製造両数は最小限とすることが求められ、当時建設中の複々線区間完成までのショートリリーフとして、最混雑時間帯に運行される遅延の多い普通列車の混雑緩和・乗降時間短縮による定時性確保を主目的とした7編成49両が新造されるに留まりました。
この5000系であるが、全車両5扉であるがラッシュ時に座席を上げているものの日中は座席を下げ、3扉として運用されている。

京阪5000系の今後 13000系13020番台で置き換えへ

そんな5000系であるが途中更新工事を受けつつ、脱線事故による代替新造がありつつも登場から2016年まで全編成が稼動していたが、京橋駅などにホームドアを設置する関係で、ドアの位置が他の3扉車と異なる5000系は置き換える必要があるため、2016年6月に突如として最終編成の5557Fが廃車となったのを皮切りに、5000系の廃車が進められていくこととなりました。

2018年9月には5扉車運用の運用削減により、5552Fと5554Fが廃車となりました。
代替車両はいずれも7両編成で新造された13000系13020番台か、7両編成化された7200系、9000系、10000系です。
その他の編成についても新造した6両編成の13000系の中に、3000系に新造プレミアムカーが連結されることによって、3000系から捻出された車両を組み込むと思われる、13000系13030番台増備によって、全車両が置き換えられることになると思われ、既に13031Fの6両が搬入されています。
またそれに先立って2021年1月のダイヤ改正では、5扉を使用した営業運転が廃止されることとなっています。
この5000系が全車廃車されると、日本の現役で走行する車両から、1つの車両で片側に5扉以上の扉を備える、いわゆる多扉車というものが消滅する格好となります。

JR東日本・国鉄185系 普通・急行・特急に使える車両

1970年代の東海道線では、153系が普通列車や急行列車「伊豆」に運用されていたが、1980年の時点で東海道線に運用されていた153系の大部分が、製造後20年程を経過しようとしており、伊東線や伊豆急行線などといった海沿いの路線を走行することもあって、塩害などによる経年劣化が深刻な状況でした。
この153系を置き換えるために、新型車両が設計・製造されることになったのであるのですが、営業サイドからこの急行「伊豆」を特急に格上げすることが要求されたため、この新型車両製造に際しては特急運用を念頭に置いた車両とすることになりました。
一方、車両の総製造数を抑える目的から、この新型車両は従来の153系と同様普通列車にも使われることになったため、153系の後継車両は前代未聞の国鉄では初めての試みとなる「特急用と通勤用で使える」新型車両として製造され、それが185系です。

【活躍】特急踊り子・新幹線リレー号

急行伊豆と特急あまぎを統合して生まれた特急踊り子だけでなく、高崎線系統などの特急列車や、大宮までしか開通していなかった頃の東北・上越新幹線連絡列車「新幹線リレー号」としての目的でも製造されていて、10両編成・7両編成・5両編成の3パターンの編成構成のバリエーションがあり、多種多様な編成が組まれていました。

途中普通車座席の転換クロスシートから回転式リクライニングシートへの取換などのリニューアル工事を経て、30年以上使われ続けています。
しかし、流石に老朽化が進んできていることから、常磐線からやってきた651系や、中央線や房総半島からやってきたE257系に置き換えられつつあり、現在残存している踊り子や湘南ライナーで走る車両も、「湘南ライナー」や「おはようライナー」等の列車が特急「湘南」号でまとまることや、「踊り子」号にE257系が運用に入ることによって、185系は2021年3月のダイヤ改正以降定期運用を全て失うこととなっています。

2020年春に踊り子の定期運用離脱 全車両廃車か

その後、臨時列車などに使われることが想定されているほか、徐々に廃車が進み、最終的には2022年までに全編成廃車になることが報道ベースで発表されています。
東日本最後の国鉄型特急車両、そして東京駅に定期で乗り入れる最後の国鉄型車両、残りわずかではあるが記録は早いうちにしておきたいですね。

JR東日本E217系 横須賀・総武快速線で活躍 湘南色の時期も

横須賀線や総武快速線などで運用されていた113系などの置き換えを目的として、1994年に量産先行車である基本編成11両編成・付属編成4両編成各2本が誕生し、翌1995年からは量産型の落成が始まり、1999年までにかけて量産先行車を含めて基本編成51本、付属編成46本計745両が製造された車両がE217系です。
このE217系は、国鉄及びJRの近郊形車両で初めての4扉構造を採用したことが特徴的で、3扉構造が踏襲されており、車内座席配置については混雑緩和を最優先とし、通勤形タイプとなるロングシート構造を基本としながら、編成中の一部車両には遠距離旅客や観光客へ配慮したクロスシートを設けたセミクロスシート構造としていて、基本編成のみ2階建て構造のグリーン車を組み込んでいます。

このE217系であるが、 JR東日本が「新系列車両」として開発した、通勤形車両209系を近郊形車両へと改良・発展させたものです。

そのため、209系の設計の特徴である「寿命半分・価格半分・重量半分」を踏襲してきており、2007年から2013年にかけて電子部品の更新などが実施されてはいるが、20年以上酷使されてきて、2020年の秋頃より新型車両として、山手線にも導入されているJR東日本の新型形式であるE235系を導入し置き換えていくこととなりました。

実はE217系は113系と協調運転・連結ができた 209系+113、211+113系と併結も

実はE217系は113系と併結運転することが可能でした。これは「異車種併結読み替え装置」によってE217系11両編成と113系4両編成の「併結運転が可能な車両」となっていました。

E217系の貫通路は総武線地下区間内での非常用扉としての用途だけではなく、113系と連結した際に幌を付けて移動可能するような考慮がされているということです。

余談ですが、113系は209系電車と211系電車とも併結することができ、実際に併結試運転なども行われていました。もしかすると、房総で113系と209系と連結する計画や東海道線で211系と113系が併結する計画があったのかもしれません。

E235系で置き換えへ 2020年12月頃廃車の動きが開始

後継車両となるE235系1000番台は2020年12月より営業運転を開始し、既に数本のE217系が運用離脱し、疎開回送も行われており、2021年になると廃車を目的とした配給輸送も順次行われるようであり、早いうちに記録しておきたい形式の1つです。

最終的には2023年度までにE235系1000番台は、E217系と同数の基本11両編成51本・付属4両編成46本が投入予定で、投入が完了した段階でE217系は全て廃車となると思うので、撮影者で混雑し荒れだす前に早いうちに記録しておきたいですね。

まとめ

ほかにも直近の引退が迫っていて危ない形式としては、2021年度内に後継車両である5500形の投入が完了する予定で、編成数も少なくなってきて、引退東京都交通局都営浅草線5300形は、2022年度までに後継車両17000系の投入が完了し、全車引退する予定の東京メトロ7000系、他には2021年3月で五能線や男鹿線のキハ40系列も運用終了予定となってて、特にキハ48形の一般車両はこの改正で全て運用終了となる見込みです。
その他にも危ない形式は沢山存在すると思うので、コメントにてシェアして頂きたいのと、こういった引退秒読みの車両たちの記録などについては、早いうちに済ませておいてほしいです。

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