JR東日本は2021年4月30日に、ローカル線を中心に非電化・単線化を推進するということを発表しました。新型コロナウイルスの影響でJR東日本の業績悪化になっていますが、「そこまでやるのか」という印象を受ける内容でした。

発表を踏まえてJR東日本がどうなっていくのか?ということを予想してみました。

JR東日本からの発表内容

今回JR東日本から発表された内容によると、設備の縮小・固定費の削減を目的に、電車の架線や変電設備などを撤去・線路や信号設備なども撤去されるということです。

また、駅設備についても券売機・改札機の仕様変更見直し・削減、ホーム上の設備についての仕様変更・削減を行っていくということです。

これらをすることで、固定費を削減することが出来る見込みです。

今後の単線化・ハイブリッド車・蓄電池車導入はどうなる? 

今回の発表で「電車をハイブリッド車等で置き換え」ということが書かれいます。つまり、これはハイブリッド車のみならず、蓄電池車も含めて投入されることになる可能性があるということになります。

どのような流れで、単線化・ハイブリッド・蓄電池車導入が行われていくでしょうか。予想してみました。

【数年以内にワンマン化?】宇都宮線・日光線 小金井~宇都宮・黒磯・日光線

予想と公式発表の情報が入り混じりますので、分かりやすいように既に公式発表があるものについては「公式発表も」という見出しを付けていますので、参考にしてください。

宇都宮線・日光線には既に新車導入計画があり、労働組合資料で初めて導入計画があることが明らかになりました。それは宇都宮線・日光線向けE131系導入です。

【公式発表も】E131系導入のタイミングで宇都宮線末端区間・日光線でワンマン化も実施か?

2021年3月のダイヤ改正で新しく導入されたE131系電車ですが、房総半島向けの列車として運行を開始しました。

また、E131系はワンマン化が可能で、既に営業運転でも行っています。JR東日本が推し進めるワンマン化の流れとしてはE131系導入と同時にワンマン化を行うとして考えれば、房総向けE131系の事例も見ても、宇都宮線・日光線のワンマン化はほぼ確実となっています。

この車両が宇都宮線・日光線に導入する計画が、JR東日本の労働組合資料で発表され、E131系が既存の小山車205系600番台電車を置き換える方針です。

国鉄時代に輸送力増強を行った主要幹線「通勤五方面作戦(東海道線・横須賀線・中央本線・宇都宮線・高崎線・常磐線・総武線)」のうち、宇都宮線か常磐線の末端区間が先陣を切ってワンマン化を行っていく見込みです。(ただし、全線ではなく末端区間である小金井~黒磯・日光間で行われるものと思われます。)

E131系導入のタイミングでなぜ蓄電池車導入の可能性があるかということですが、まだ正式発表は出ていませんが、そうなる材料は以前に発表されています。

それはE131系導入と同時に大幅なダイヤ改正が行われる可能性があるからです。

【公式発表も】E131系導入で宇都宮線・日光線が白紙ダイヤ改正か 性能差も原因か

E131系導入で注目されているものの一つは、宇都宮線・日光線で白紙ダイヤ改正も含める大幅なダイヤ改正がほぼ確実に行われるということです。

前回発表された資料によると、「ダイヤ改正で基本のダイヤを設定ざるを得ない」と書かれており、現在の205系の性能差に合わせたダイヤからE131系の性能に合わせたダイヤ改正が確実となっています。宇都宮線(小金井~黒磯間)・日光線で白紙ダイヤ改正が行われることになれば、ワンマン化は必須になるでしょう。

では、宇都宮線にE131系でのダイヤ改正が行われた後どうなるでしょうか?

新車導入のタイミングで非電化・ワンマン化が行われる可能性がある路線がいくつかあります。それは211系が走っている路線です。

中央本線・両毛線・吾妻線・信越線・上越線などでワンマン化・非電化実施か 211系置き換えか HYBARIなどで技術上は可能か

長い間新車が投入されていない線区には、現在も211系が走り続けています。設備投資がた路線に比べてされていないことから、採算が良くない路線ということは推測できそうです。

2021年現在211系電車が走り続けている路線は、上越線・両毛線・吾妻線・中央本線・篠ノ井線・信越本線(高崎~横川)などがあります。このうち主要幹線である上越線・篠ノ井線は非電化の可能性は低いでしょう。とはいえ、ワンマン運転は実施されるでしょう。

これらの路線には現在のところ新車導入計画がありません。2014年にE233系が両毛線に入線した例はありますが、桐生駅付近まで入線した実績がありますが、その後運転されていないことからE233系を導入することも考えられていないでしょう。

この先、数年間は新車導入発表もないため、非電化をするのであればもう少し先のことになりそうですが、烏山線で使用されているEV-E301系蓄電池車を改良した車両が導入される可能性があります。ただ、現状航続距離が50km程度しかないため、改良し航続距離の長い車両が今後は必要となってくるかもしれません。

特に「HYBARI」は航続距離140kmもあることから、非電化がほぼ首都圏の路線が対応可能になるでしょう。実証実験が行われる南武支線・鶴見線をはじめ、吾妻線・両毛線・信越本線(高崎~横川間)などが対象になるものと思われます。ただ、後述しますが、導入されるのは2030年以降となり、2020年代は蓄電池車の導入がトレンドとなりそうです。

単線化はどの路線で行われる?羽越線・奥羽本線の主要幹線でも実施か

もちろん、JR東日本で主要幹線として整備されたのにも関わらず、今は使命を半分失っているような羽越線・奥羽本線では単線化が実施される可能性があります。列車本数削減も視野に入っており、単線化のための減便も考えられます。

羽越本線は複線化をしようとして、中途半端に複線化され、今も複線化に向けた建設されたトンネルなどが沿線に放置されている状態です。恐らく未成線で終わることになりますが、複線化された線路についても一部単線化されてしまうと思われます。とはいえ、全て単線化してしまうと貨物列車の長大な待避線が必要となるなどのデメリットも存在します。影響の少ない線区から順次単線化されるものと思われます。

【公式発表】非電化・ワンマン化・単線化はいつから?

JR東日本が今回明らかにした非電化・ワンマン化・単線化はいつから始まるのでしょうか?

まずはワンマン化についてですが、既に内房線・外房線・鹿島線など41線区に拡大しています。既に進行中ということで更なる推進をしていくということで、順次線区は拡大される見込みです。さらに在来線・新幹線でのATO運転線区の拡大も行われるということです。ますますドライバレス化が進みますね。

非電化・単線化については2027年度までに検討、その後導入という流れになります。ホーム上の設備や線路数も削減するということです。線路数の削減というのはホームも減らすということだと思われます。留置線などの削減についても実施されます。燃料電池車の実証試験は2030年度までに完了、2040年度から投入線区が検討、2050年までには実用化され幅広い線区で実施されるものと思われます。

蓄電池車両については2040年度までに投入が終了となり、これについては詳しく書かれていませんが、ここ20年で蓄電池車両の投入が早期に実現される可能性があります。

【公式発表】JR東日本「古い車両を大切に使いましょう計画」を発動へ

今回の発表で衝撃的だったのは「古い車両を大切に使いましょう計画」の発動です。これまでJR東日本は209系電車に代表されるように13年で廃車にできる車両を作ったり、比較的短いスパンで車両更新を行ってきました。

しかしながら今回の発表で「延命工事を行うこと」「車両の新造の抑制」などこれまでのJR東日本の方針とは異なる計画が発表されています。

「古い車両を大切に使いましょう計画」はJR西日本が国鉄から譲り受けた車両を新車を作らずに、使い続けて検査通したりしていることから言われていましたが、まさかJR東日本でこの言葉を使う日が来るとは思いませんでした。

比較的JR初期に作られた車両も現在まで使い続けているのはそういった理由があるのかもしれません。

JR東日本のお家芸「玉突き転属」も消滅か 配給輸送も少なくなる見通し

山手線に新車を導入した関係で、総武線に転属された元山手線E231系0番台

また、これまで205系など他の路線に転属させて、別線区のE231系を導入、山手線にはE235系「電子レンジ」を導入するなどをいわゆる「玉突き転属」はJR東日本のお家芸として鉄道ファンには有名な話ですが、今後は同一線区で長く活用することが視野に入れられているので、そういったことが頻発することはなくなるかもしれません。

鉄道ファンにとっては転用改造を受けるための配給輸送や転属先を予想するのも楽しみという方もいるでしょうが、今後はJR東日本の事業計画に基づけば、ますます撮影対象が少なくなることになりますが、時代の流れで仕方がないのかもしれません。

まとめ

JR東日本の非電化・ワンマン化・単線化についてですがまとめると、次のようになります。

  • JR東日本は2027年度までに固定費などを削減へ
    • 首都圏の主要幹線でも末端区間ではワンマン化実施の兆候あり ATOも在来線・新幹線で実施か
    • 宇都宮線・日光線のE131系導入でワンマン化はほぼ確実 他線区にもその流れは波及しそう
    • ワンマン化・非電化が進みそうな路線は、211系を使っているような設備投資をしない路線か
  • 単線化は東北地方の主要幹線を中心に実施か
    • 奥羽本線・羽越本線が対象か
  • 蓄電池車は2040年度までに積極投入
    • 路線延長50km程度の路線に積極投入か
  • 2040年以降から燃料電池車が各線に実用化
  • JR東日本が「古い車両を大切に使いましょう計画」発動へ
    • お家芸「玉突き転属」は消滅へ 転用ができるだけ発生しないように方針転換

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