南武線快速とは
JR南武線は川崎駅(神奈川県川崎市)と立川駅(東京都立川市)を結んでいる路線(※)です。
南武線の電車は大半が各駅停車(各停)ですが、2011年春のダイヤ改正以降は快速も運転されています。
南武線を利用したことはあるけれど快速には乗ったことがない、そもそも快速の存在を知らないという読者も少なくないと思います。
しかし、場合によってはなかなか便利な列車です。
機会があればぜひ利用してみてください。
※ 南武線には、川崎駅と立川駅を結ぶ本線の他に、尻手駅を起点とする支線も存在します。
本記事では支線に関する記載は省略します。
なお以下に示す、南武線快速の停車駅、所要時間などに関する情報は全て、2021年5月1日時点のものです。
南武線快速の運行時間帯
南武線を快速が走る時間帯は限られています。
日中(10時頃から16時頃まで)と、平日夕方の通勤時間帯(17時半頃から20時頃まで)のみです。
平日の日中の快速は1時間に2本、休日の日中は1時間に3本運転されています。
全列車が川崎駅から立川駅までの全区間を走ります。
平日夕方の快速は川崎発-稲城長沼行が4本、登戸発-川崎行が4本、30分間隔で設定されています。
以上のように、南武線の快速列車の本数は多くはありません。
確実に快速に乗りたいのであれば事前に時刻表を調べる必要があるでしょう。
南武線快速の停車駅-川崎・武蔵小杉・府中本町・立川
南武線快速の停車駅は、川崎方から順に
川﨑、鹿島田、武蔵小杉、武蔵中原、武蔵新城、武蔵溝ノ口、登戸、稲田堤、稲城長沼、府中本町、分倍河原、立川
です。
列車によって途中の停車駅が異なることはなく、また平日と休日で異なることもありません。
南武線の特徴の一つとして、途中駅の中に他の路線、特に他社路線と接続する駅が多いことが挙げられます。
武蔵小杉駅で東急東横線・目黒線と、武蔵溝ノ口駅で東急田園都市線(溝の口駅)と、登戸駅で小田急線と、稲田堤駅で京王相模原線(京王稲田堤駅)と、分倍河原駅で京王線と接続しています。
南武線の快速はこれらの駅全てに停車します。
他社路線を利用する乗客の利便性にも配慮されていると言えるでしょう。
快速と各停との乗り換えは、平日日中の下り(立川方面行き)列車の場合は稲城長沼駅で、平日夕方および休日の下り列車の場合は武蔵溝ノ口駅と稲城長沼駅で行えます。
また、平日夕方の上り(川崎方面行き)列車の場合は武蔵中原駅と登戸駅で、平日日中・休日日中の上り列車の場合は登戸駅で行えます。
南武線快速の所要時間
川崎駅から立川駅まで、各停ならば57分程度かかるところを、快速ならば42分程度で移動できます。
一方、仮に川崎駅から東海道線で東京駅に出て、中央線で立川駅に行くと1時間程度かかります。
つまり南武線各停での所要時間は、東京駅を経由する場合とほとんど変わりません。
しかし快速ならば東京駅を経由するよりも早く、しかも混雑する都心を避けて移動できるというわけです。
このことにより、神奈川県東部と多摩地域との往来に南武線が選ばれるようになれば、都心の鉄道の混雑が緩和されます。
南武線快速の真価はこのようなところにもあると言えるでしょう。
南武線の歴史
南武線は35.5kmの間に26もの駅が並ぶ路線です。
駅同士の間隔は平均で約1.4kmしかなく、JRの路線の中では短い方で、まるで私鉄のようです。
駅の数が多く、間隔も短いため、どうしても電車の所要時間が長くなりがちで、速達性に難があります。
既に記した通り、川崎駅と立川駅を直線的に結んでいる路線であるにも関わらず、各駅停車の所要時間は東京経由で移動する場合の所要時間と同等になってしまっています。
このことが、沿線から快速列車の運転を長年にわたって要望されていた要因になっていたはずです。
どうしてこのような路線が生まれたのか、経緯を説明します。
南武線はもともと「南武鉄道」という名の私鉄として開業しました。
当初は私鉄だったのです。
この鉄道を建設する目的は、最初は多摩川で採取した砂利を川崎方面へ運搬することであったとされています。
やがて、川崎と多摩地域とを結ぶ交通路線とすること、多摩地域からのセメントを川崎にある工場へ運搬することなどの目的も加わります。
そして1927年3月9日に、川崎駅から登戸駅までが開業します。
以後順次延伸していき、1929年12月11日に立川駅までの全区間が開業します。
全線開通後、沿線には数々の企業の工場が進出し、沿線の人口は急増します。
南武鉄道はそれらの通勤客をも運ぶようにもなっていきます。
私鉄として生まれ、私鉄らしい発展を遂げていったのです。
この発展の歴史の痕跡が、駅間隔の短さという形で現在も残っていると考えられます。
また、この時期に進出した企業の内のいくつかは撤退したものの、現在も誰もが知るような有名企業が川崎市内を中心に立地しており、南武線という路線の特徴の一つになっています。
南武鉄道は戦時中に、沿線に軍事施設が多数存在することや重要物資を運搬する経路であることなどが重要視された結果、1944年4月1日に国有化され、国有鉄道の南武線となります。
戦後も南武線沿線の発展は止まらず、南武線の利用者は急増していきます。
国鉄は車両の増結、複線化などの施策を次々と実施し、輸送力の増強に努めます。
そして一度快速列車が設定されたのち1978年に廃止、JR発足後の2011年から再び快速が走り始めるという歴史を刻んできたのです。
余談ですが、当初は貨物の運搬を主目的として生まれた路線であるものの、現在の南武線を走る貨物列車はごくわずかとなっています。
まとめ
南武線快速の運転時間帯、停車駅や所要時間について簡単にまとめました。
運転される時間帯や本数こそ限られているものの、所要時間短縮効果が大きく、他路線との乗り換えもしやすい、利便性の高い列車であることがご理解いただけたと思います。
ぜひ、事前に時刻表を調べた上で有効に快速列車を利用してみてください。
南武線の快速電車は結構思った以上に活躍することができます。平日の下りは稲城長沼で各停を待ち合わせ、休日は武蔵溝ノ口と稲城長沼で各停を待ち合わせすることによって便利差は格別です。しかし上りは待避線の関係で平日休日共に登戸だけで行っております。