新宿~小田原までの路線などを持っている小田急電鉄。今回は通勤・通学需要に使われる「小田急1000形」について分かりやすくまとめてみました。
小田急1000形とはどういった車両でしょうか?
小田急1000形ってどんな車両? 営団千代田線直通運転可能な設計
小田急1000形はなぜ作られたのでしょうか。時代は1988年、当時は小田急の通勤需要が増大してきており、営団地下鉄千代田線(現在の東京メトロ千代田線)に直通も可能にした車両でした。
現在でも東京メトロ千代田線が乗り入れをしていて、今はJR常磐線への乗り入れも行っていますよね。2016年まではJRまでは直通運転を行っていませんでした。
また、当時は最新技術だったGTO-VVVFインバーター制御を投入した車両で、製造元が総力をあげて開発された列車となっています。(製造会社:東急車両、川崎重工、日本車両)
地下鉄に直通するということは、通常の鉄道路線と違い、駅間が短く、急な坂を上り・下りしながら、加減速を繰り返すということを意味しています。そのため、車両には高加減速も求められたということになっているんですね。
同時に軽量化も行われていて、さびにくい性質を持つ、ステンレス車体を採用している点など「205系」車両との同じ年代に作られた共通点も多いです。
現在、小田急1000形は未更新車、更新車の2種類があります。見た目からもその判別はしやすく、後でまとめているのでご覧ください。
小田急1000形とは? 最初は10両編成はなく 4両・6両編成だった
小田急1000形は製造が始まった後、1991年までは4両編成・6両編成しか存在しませんでした。
そのため、8両編成・10両編成は4+4、4+6というように編成されました。
そうすると使わない運転席ができるわけですが、そこには貫通路を作るための仕切りが設置されました。とは言え、乗客の移動ができたかというとそうではなく、あくまで非常用でした。(千代田線直通使用車のみ設置)
このうち、千代田線直通対応となっていたのは、直通対応となっていた6+4の編成と10両固定編成でした。
1992年から小田急で初めての10両固定編成が、この小田急1000形から製造されることとなりました。固定編成とは先程のように連結をしていないもので、中間運転台はなくなっています。
そして1991年、あの「ドア」が誕生します。
1991年・92年に「ワイドドア」登場 導入した理由は?
1991年から1992年にかけて、ドア幅2mという超特大サイズの「ワイドドア」を採用しているということが特徴となっています。
扉の開口部は横長に開いているように見えることから「ワイドドア」と言われています。
ちなみに、運転室後ろのドアだけ開口部が1.5mと少し狭くなっています。気になった方は今度乗った時に見てください。
どうしてワイドドアが導入されたのでしょうか?
理由は首都圏の通勤需要に対応するものでした。当時山手線で6扉、日比谷線で5扉車を導入していました。
しかし、今では当たり前となっている4扉・整列乗車が定着していることを考えて、「ドアを広くする」という発想を小田急はしました。
【失敗】ワイドドアを導入した後の結末とは
このワイドドアは 1990年度と1991年度の2回に分けられて製造されており、6両編成2本、4両編成が6本の合計36両が製造されました。
ただ、このワイドドア車は不評で、乗降を短縮効果があったというものもあれば、逆をもたらした結果ということもあり、着席定員数が減少してしまった影響が最も大きいでしょう。失敗に終わってしまったというのは事実だと思います。
そこで1997年度以降に開口幅を2mから1.6mに縮小させ座席も、5・6人掛けから7人掛けに変更・改造されています。
赤い小田急1000形 改造車に箱根登山鉄道のラッピングも
小田急1000形には箱根登山鉄道のラッピング車も存在します。このラッピング車は箱根登山鉄道で使用されている「赤」を基調としており、「赤い小田急1000形」というのがあります。
よく見られるのは、箱根湯本駅や小田原駅です。箱根湯本~小田原間の普通列車が運転されており、その運用に充てられることも多い車両です。
ここまでしているのは、小田急が箱根に力を入れているというのも一つの理由かと思います。
ケーブルカーやロープウェイの駅はお金をかけてリフォームした結果、内装が「新駅」同様にきれいになっています。小田急の狙いとしては「なんでこの車両は赤なんだろう」という疑問を持ってもらうのも、一つの戦略なのかもしれません。
小田急1000形のうち4編成が「赤い小田急1000形」となっているので、探してみてはどうでしょうか?
小田急1000形リニューアル車(更新車)
小田急1000形リニューアル車について今度は紹介していきます。
小田急1000形リニューアル車の外見的な特徴は行先方向幕がフルカラーLEDとなっていて、前照灯もLEDに変更されているのが特徴です。
そのほか、モーターなども更新されており、従来の車両と音が違うので、出会ったときには聞き比べてみるのもいいのではないでしょうか?
小田急1000形リニューアル車の車内
車内はどうでしょうか?車内を見るとドア付近に点字ブロックが設置されていたり、座席モケットが新しいものに交換されていたり、ドアの上部にはLCDが2つ付けられていて、古さを感じさせないものとなっています。
「見た目は古い1000形なのに車内は新しい」と思ったら、それは小田急1000形リニューアル車です。
これなら、小田急1000形を知らない人でも見分けがつきやすく分かりやすいですね。
小田急1000形の今後
小田急1000形のリニューアルについてですが、当初2021年までにワイドドア車以外全車両に全車リニューアル工事を行う計画としていました。
しかしながら、実際のリニューアルのペースを見ると、年10両程度しかリニューアル工事を行えていません。これはかなりスローペースですね。
また2020年3月より「新型の小田急5000形」という車両が登場しました
これにより小田急1000形の今後はかなり変化しました。
リニューアルから廃車に方針転換した出来事とは サハ2両が残った理由
新型のリニューアルの方向性が変わった出来事として、8両編成の1081Fは付随車2両残して廃車になったことです。
なぜ、付随車2両を残したということですが、4両編成の1055F、6両編成の1255Fのうち、編成の中間に入る先頭車を廃車したうえで、その部分に1081Fの付随車2両を組み込んで10両編成とする計画があるからです。
現在リニューアル車は4両編成が7本、 10両編成が5本このうち1095F、1096Fは6両編成と4両編成を組み合わせて10両編成に変更した編成になっています。
また、これ以外のリニューアルしていない編成は4両編成が9本、そのうち1本は赤編成です。
10両編成が1本、ワイドドア編成である6両編成が6本、通常ドアが6両編成3本、4両編成は9本いて4本は「赤い編成」が未更新車となっています。
しかしながら、1054F・1068Fの4両編成2本が廃車となっているほか、ワイドドアの1751F、6両編成も廃車になっています。
過去には、1本だけ8両編成のものが、1081Fがありましたが、この編成は既に付随車にを残して全て廃車になっています。これは10両編成として1097Fに組み込みをするためです。
中間車改造を行った編成も
6両と4両編成の一部の編成について10両編成とするということを挙げましたが、これらの編成には「中間車改造」が施されました。
この改造から小田急1000形の運転台を外した編成が誕生しています。
一般の方には分かりづらいと思いますが、連結面をよく見ると色が異なっているのが分かると思います。
こういった編成があるということも、知っておくと趣味が楽しくなるかもしれませんね。
今回床下機器などについては、あえて触れませんでしたが、詳しく知りたい方はこちらの動画がおすすめです。
※編成の情報については2020年11月末現在の情報です。