Twitter上でプロ野球の試合に方向幕が使われているとTwitter上で話題となっています。一見すると、野球と鉄道は無関係に思えますが、意外にも関係性があるということが分かりました。
謎の「村上(吉田経由)」っていうのはどういう意味なのか?疑問を持っているヤクルトファンの皆様にも伝わってくれたら幸いです。
実際にプロ野球の試合で使用された行先方向幕
実際に行先方向幕で使用されたのが、こちらの行先方向幕です。
まず、「村上ってどこやねん」という話ですが、村上は駅名としても聞いたことがない人も多いかもしれませんが、新潟県北部に位置する都市です。サケが有名でいくら丼とかが美味しいですね。
チームは東京ヤクルトスワローズだし、村上選手自体も熊本出身なので縁もゆかりもないですが、名字が一緒なのでこの「村上」という方向幕が使われているみたいですね。
駅名自体は千葉県にもあるのですが、終着駅ではないため、新潟県の村上駅が選ばれたということになります。
野球ファンの方には4種類ある方向幕が何を意味しているのか分からないと思うので、それぞれが何を意味しているのか解説していきたいと思います。
普通「村上行き」実はもう使用されていない
新潟にお住まいの方なら、2018年頃までは当たり前のように見れたこの古い車両が115系というのですが、これはアナログな行先方向幕が使用されていました。現在は新しい車両が使われており、デジタルで表示ができるため、現在は使われていません。また、行先方向幕に使われているものは国鉄フォントで、なかなか味わいのある文字が特徴です。
「村上」とだけ表示されているのは普通列車村上行きという意味で、主に新潟発村上行きなどで使われることの多かった行先方向幕です。
村上(吉田経由) 珍しい行先方向幕
「村上行き(吉田経由)」はさっきの村上行きと変わらないと思うかもしれませんが、こちらは越後線の柏崎駅を始発とする列車の村上行きの列車に使用されていた方向幕です。これは柏崎にいるときに信越本線回りなのか、越後線回りなのかということ、吉田にも行くということを乗客に伝えるために使われていました。
ちなみに柏崎から村上まで約150kmあり、4時間くらいかかる列車で本数も少なかったので、これを野球場に持ってくるヤクルトファンはなかなかマニアックで、恐らく鉄道ファンからは「こいつ分かってるな」と思われていることでしょう。
新潟県の在来線は1時間に1本もないような駅がたくさんあるので、路線を間違えると何時間も帰るのが遅くなってしまうことから、わざわざ吉田経由と書いてある重要性が感じられます。
ちなみに「ワンマン村上」という行先方向幕もあるそうですが、これを球場でやると「村上選手がワンマンプレイをする選手」という風に誤解を与えかねないので、これは控えた方が良さそうですね(笑)
快速らくらくトレイン村上 現在は廃止された列車
快速らくらくトレイン村上は2021年3月のダイヤ改正をもって廃止された列車で、現在は走っていない列車になります。
着席制の通勤ライナーとして運転され、東京の方になじみがある列車と言えば「湘南ライナー(こちらも現在は廃止)」があります。それに似た列車が新潟でも運転されていたことになります。
また、野球的には「快速」というのはホームランや剛速球などの意味合いもあるようで、縁起がいいので使われたのかもしれませんね。
快速村上 こちらも現在も運行
新潟県にお住まい・あるいは夏休みなどに新潟へ旅行した人は利用したことがあるかもしれない「ムーンライトえちご」。2014年5月まで運転されていた夜行快速列車で、「ムーンライトながら」のような夜行列車シリーズで、新宿~新潟まで運転されていた列車です。
村上は新潟のもっと先だから関係ないと思われるかもしれないですが、「ムーンライトえちご 村上行き」のような列車が運転されていました。
元々村上行きの列車として運転されていましたが、これが新潟駅で「ムーンライトえちご」と「快速村上行き」に分割されることになりました。
その後、ムーンライトえちごの方は2014年5月で廃止になり、新潟駅到着4時51分から乗り継げる時間の新潟駅4時56分発快速村上行きが現在もそのまま残っており、運転されています。
さすがに聖地巡礼のために新潟駅から快速村上行きに乗るヤクルトファンはいないと思いますが、もしも2021年まで上野から快速村上行きが出ていたら、新潟に夜行列車で村上に行こうとするヤクルトファンもいたかもしれません。
実はヤクルト自体も元々国鉄スワローズだった?!
「ヤクルトは鉄道関係ないでしょ」と思った方に悲報(?)です。実は1955年~1964年まで国鉄スワローズという球団が存在しました。その後1965年からはサンケイ新聞とフジテレビに譲渡されることとなります。
恐らくですが、あえて"国鉄フォント"の「村上行き」と掲げているのですから、それも分かった上で、あの人達は球場に持ち込んでいると思われます。鉄道ファンから見てもさすがとしか言いようがありませんね。
ヤクルトスワローズの”スワロー”の由来は実は列車名だった 国鉄の名残が今も残る
ヤクルトスワローズの「スワロー」が燕ということは知っていても、由来が何かを知らないという方もいるでしょう。ヤクルトスワローズの由来はなんと列車名だったのです。
1930年から1943年、1950年10月~1964年の東海道新幹線開業までは東京~神戸まで運転されていた列車です。蒸気機関車で運転されていたころは8時間、末期には6時間30分まで短縮し、東海道新幹線開業で東海道線の特急としては消滅します。
「つばめ」マークはJRになっても残る
その他、C62蒸気機関車や、JRバス関東などの高速バス・路線バスの車体、高崎線特急「スワローあかぎ」にもその名前が残っています。身近にもスワローズの由来となったつばめを見ることが出来るかもしれません。電車に乗った時は見てみてもいいかもしれませんね。
ヤクルト以外の他球団がファンの方も一応関係していて、阪神・西武も鉄道系の球団になります。それ以外にも昔オリックスバファローズは近鉄バファローズだった時期がありますし、阪急ブレーブスや南海ホークスの時代もありました。
野球と鉄道は野球史に興味がある方にとっては切っても切れない関係だということはお分かりいただけたでしょうか?
今後、「村上行き」が球場内に増えていくのか、野球中継を見るうえで楽しみになりそうですね。