横浜・川崎の工業地帯を縫うように走る路線、鶴見線。
その特殊な路線の性格から、鉄道ファンや観光客にも人気の路線です。
海芝浦駅や国道駅は比較的認知度も高く、多くの鉄道ファンや観光客が訪れますが…個人的に隠れた名物駅だと感じているのが、浅野駅。
本線と海芝浦支線が分岐する駅なのですが、なかなか特殊で面白い構造をしているんですよね。
利用客は決して多くない駅ですが、野良猫が日向ぼっこしていたり、スズメがちょんちょん歩いていたりと、動物との出会いもあってのんびりできる駅です。
今回は、鶴見線のディープな魅力を凝縮した隠れた名物駅、浅野駅についてまとめていきたいと思います。
鶴見線浅野駅とは?浅野駅の特徴について解説
浅野駅は、横浜市鶴見区末広町にある鶴見線の駅です。
駅ナンバリングはJI05。
先述の通り、扇町方面に向かう本線と海芝浦に向かう海芝浦支線が分岐する駅で、ホームはなんと3面4線。
決して本数は多くない路線ですが、非常に贅沢なホーム数ですね。
1番線が本線の扇町方面、2番線が鶴見方面、3番線が海芝浦方面、4番線が海芝浦方面から来た列車の鶴見方面ホームとして使用されています。
2番線・3番線ホームが扇型ホームであり、非常に広く作られているのが浅野駅の大きな特徴。
木造のホーム屋根も使用感がかなりあり、独特の風情を出しています。
橋上駅舎ではないため、1番線から2・3番線、2・3番線から4番線へは構内踏切を渡って移動する必要があります。
トイレは男女別の水洗式ですが、決して新しいトイレではないので気になる方は別の場所で済ませてきたほうが良いかもしれません。
浅野駅の駅名は、鶴見線の前身である鶴見臨海鉄道の設立者で、浅野財閥の創設者でもある浅野総一郎に由来します。
日本のセメント産業の基礎を作り、現在の京浜工業地帯を築いた浅野総一郎の名前が冠されている駅ですが、現在の利用状況は決して多くの方が利用しているとは言えない状況なようです。
無人駅であるため、乗客数などのデータは2009年度以降公表されていませんが、最後に公表された2008年度の乗客数は894人。
近くにはJFEエンジニアリングの鶴見事業所などがありますが住宅はなく、ほとんどが通勤客の利用ということなのかもしれません。
とはいえ先述の通り海芝浦支線との分岐駅という役割は変わらず持っているので、廃駅などの可能性は低いと思われます。
趣ある駅舎と猫たちがのんびりしている独特の安心感は、これからもずっと残っていてほしいなと思います。
浅野駅について少し知識がついたところで、次は浅野駅の歴史について紐解いてみましょう。
鶴見線浅野駅の歴史
次は、浅野駅の歴史を見ていきましょう。
浅野駅は、1926年3月10日、鶴見線の前身である鶴見臨海鉄道の浜川崎~弁天橋間開業時に、貨物駅として開業しました。
当初は旅客営業がなかったようです。
1930年10月28日に旅客営業を開始。
1943年7月1日に鶴見臨海鉄道が国有化され、鉄道省鶴見線の駅となりました。
同日に、かつて存在した貨物駅の鶴見川口駅への分岐駅が弁天橋駅から浅野駅に変更となっています。
1971年3月1日に無人駅化。
1982年11月15日に鶴見川口駅への貨物支線が廃止。
1986年11月1日に浅野駅の貨物取り扱いが終了。
同じ日に、鶴見川口駅が正式に廃止となっています。
駅周辺にあるJFEエンジニアリングの鶴見事業所や、弁天橋駅付近にある旭硝子京浜工場へ続く専用線がありましたが、そちらも廃止となりました。
1987年4月1日の国鉄民営化に伴い、東日本旅客鉄道(JR東日本)の駅に承継。
2002年3月22日に、IC乗車券Suicaに対応しました。
2026年で開業100年となる浅野駅ですが、当初は貨物営業のみだったということを筆者も調べてから初めて知りました。
京浜工業地帯の発展を見守りながら、自らの機能はどんどん縮小していった浅野駅。
そんな浅野駅周辺が、今後どのように変化していくのかも気になります。
まとめ
工業地帯への通勤路線としての任務を果たしつつも、駅舎を見ているとまるで時間が止まった都会のオアシスのような性格を持つ路線、鶴見線。
浅野駅は、まさに時が止まってしまった駅のような雰囲気を持つ駅でした。
雑草が生い茂り、寂れた雰囲気を醸しつつも、本線と海芝浦支線の分岐駅という重要な役割は健在。
本線と海芝浦支線の交差はなかなか見応えがあり、構内のポイント配線も魅力的です。
個人的には夏の草が元気な時に、青空と絡めて撮影するのが好きな駅。
この駅のひっそりとした雰囲気と動物たちとの出会いにほっこりして、また明日から仕事頑張ろうと思える場所。
そんな浅野駅が皆さんの心のふるさとになることを願っていたら、この記事も終点が見えてまいりました。
浅野駅の魅力を少しでも知っていただけましたら幸いです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。