JR北海道は2021年春に既存のキハ40形の一部をH100形に置き換えます。同系列は同社としては既存車両と比べてかなりシステムに差があるのですが、一体どんな車両なのかを解説します。

2021年春にどれぐらいキハ40形が置き換えられるのか

JR北海道は2021年春にH100形電気式気動車30両を新たに室蘭・宗谷・石北線に投入します。従来のキハ40形よりも所要時間短縮や利便性向上に貢献します。

■室蘭線
○苫小牧~室蘭間
・66本中43本をH100形で運転し、同区間を最大11分(平均4分)速達化します。
○東室蘭~長万部間
・20本すべてをH100形で運転し、同区間を最大11分(平均8分)速達化します。

■宗谷線(旭川~名寄間)
・所要時間短縮効果 H100形投入 約11分、5駅廃止 約12分
・37本中34本をH100形で運転し、ダイヤ調整とあわせて同区間を最大31分(平均13分)速達化します。

■石北線(旭川~上川間)
・23本中2本をH100形で運転し、駅の廃止とあわせて同区間を最大7分(平均5分)速達化します。

基本設計はJR東日本のGV-E400系

H100形はJR北海道としては初の電気式気動車(エレクトロニック・ディーゼル)です。Diesel Electric Car with MOtorsの略で「DECMO(デクモ)」という愛称がつけられています。簡単に説明をするとディーゼルエンジンで得られた動力で電力を変換して電動機を駆動させる方式です。それゆえに電車なのか気動車なのか意見意見が割れる方式です。

見た目からわかるよう基本設計はJR東日本のGV-E400系気動車で、酷寒地対策などJR北海道向けにカスタマイズが施されています。製造もGV-E400系と同様川崎重工業が担当しています。

既に2020年3月14日のダイヤ改正から函館本線の小樽駅から長万部駅間のワンマン列車全列車と札幌駅から小樽駅の上り1本で営業運転を開始しています。

最大で4両編成を組成可能ですがJR北海道の既存車両とは併結することができません。基本設計のGV-E400系と同様にステンレス鋼が特徴ですが帯などのエクステリアは「新しさ・北海道らしさを表現した」デザインとなっています。

GV-E400系設定されている片運転台車は予定されていません。また電気連結器も搭載がされていません。電気連結器は精密なもので電気的な接点が剥き出しな構造で連結時以外は自動でカバーがかけられます。それでも過去には他社でショートするなどのトラブルが発生しているので雪が激しい北海道では導入が難しいのです。

設計変更によりジャンパ線接続方式になっているのですが、本来電気連結器が設置されている位置にはスカート下部に切り欠きが存在します。こちらはコストカットのためか設計を変更しなかったようです。

灯火類も全てLEDで共通設計なのですが、前部標識灯は降雪時の視界確保を目的に前面窓上部に加え前面窓下部にも増設されています。その他各所に酷寒地対策が施されています。

ドアボタン式になったのはキハ40形との変更点ですがGV-E400系にもついています。ところがH100形には「編成順位標(号車札)差し」「急行列車標差し」の設置やサボを取り付けられるようになっており、今までのサボも引き続き使用されています。

その他外見上の差異として、出入口表示器が省略されており、台車上部の台枠下部へのステンレス製ふさぎ板設置されています。また開けられる窓の数も変更されています。

H100-1とH100-2のような量産先行車との違いは、ライン上の「H100」のデザインがなくなっているのと、ドアをこえて車体端まであったラインが、ドア手前までになっています。量産車では片側3か所を除き固定窓に変更されています。前面に表示している車番の文字の大きさも異なります。

内装は北海道らしさを強調

Wikipediaより

内装も基本設計は同様でロングシートと2+1席のクロスシートです。運賃表示器は液晶型で、運賃や次駅案内も行い英語表示にも対応しています。室内の照明類はすべてLEDでGV-E400系にはないゴミ箱が設置されています。

インテリアデザインはGV-E400系とは異なり、所々に北海道を感じられるようになっており、座席は一般席モケットにグリーン、優先席はオレンジが使用されています。乗降ドア室内側はJR北海道ではおなじみのコーポレートカラーのもえぎ色、ドア横のパーティーションはブルーとなっています。

キハ40形は特急車両のようにデッキが設けられていたので、客室までドアを2回通る構造でした。ドアボタンの導入や空調設備や車内の気密性向上から寒さ的には問題ないでしょう。

出力は片方は電気式気動車なので単純比較はできませんが、キハ40形の220馬力から450馬力に向上しています。起動加速度は1.1km/h/s(0km/h~60km/h)でこれはキハ40形とほぼ同じなようです。数字上では同じでも実際に乗ってみると早く感じる人が多いようです。

車齢は40年近く差がありますがあくまで気動車なので劇的に速くなるということはありません。しかし最高速度は90km/hから100km/hに向上しており、走行音もかなり静かになっています。性能や快適さはJR東日本では秋田・新潟地区で置き換えが続けているだけあり、かなり優秀なものになっています。

乗客のとっては嬉しい一方で鉄道ファンからするとキハ40形が置き換えられていき寂しい部分もあると思います。JR北海道はH100形を2022年度までに量産車127両を新製をするとしています。

※画像は特筆していない限り「スーツ交通/Suit Train」より提供

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