今回は近鉄で160円で大回りの楽しみ方、注意点、環状経路外から(例:京都・名古屋→大和八木→鶴橋→生駒)大回り乗車した場合の特急券の取り扱いについてもどうなるのかということを解説していきたいと思います。

そもそも近鉄の160円大回りとは? JRの大回りとは違いルールが少しややこしい 一歩間違えると不正乗車になるので注意

近鉄の大回りとは布施~大和西大寺~大和八木~布施の「環状経路内」であれば実際の乗車経路に関わらず、最短距離で運賃計算をするというものです。初乗りは160円で数十キロ近鉄電車に乗ることができます。

また、鶴橋~布施間については特例があり、大阪線と奈良線を乗り継ぐ場合に限り、布施~鶴橋間の往復運賃は不要となります。画像のように近鉄奈良線と大阪線が並走していることが分かります。

近鉄の大回りのルールについて旅客営業規則第100条に記載されています。

環状経路(布施~大和八木~大和西大寺~布施)を部分乗車となる
乗車券で、同経路を発または着もしくは一部通過となる普通乗車券又は回数
乗車券を所持する旅客は、旅行開始後、環状経路内の乗車区間をその運賃計
算経路と異なる他の経路(生駒線、田原本線は除く。)により乗車すること
ができる。

近鉄旅客営業規則第100条より

旅客営業規則第100条の「一部通過となる」環状経路内の運賃計算の解釈の仕方について

ただし、「環状経路の内側」の近鉄生駒線・近鉄田原本線を1駅でも含んでいた場合は、大回り乗車ではなく迂回乗車となり「環状経路外」となるので最短距離ではなく、実際に乗った経路の運賃が発生します。

同じく、「環状経路の外側」の近鉄京都線・近鉄橿原線・近鉄大阪線の布施から西(先述の鶴橋~布施までの特例を除く)、大和八木から東の区間が含まれているにも大回り乗車ではなく迂回乗車となり、最短距離ではなく実際乗った距離の運賃が発生します。

第100条の文章の中で「一部通過となる」と書かれている部分に対し、「環状経路の一部が入っていれば最短経路で計算される」と思っている方もいるかと思います。例えば、京都→(大和八木)→大阪難波といった場合も最短経路での計算になると考えている人もいるかと思います。

しかしながら「一部通過となる」と書かれている部分に関して、近鉄本社の見解としては「環状経路の駅を発駅・着駅どちらかが環状経路になる場合のみ、最短経路での運賃計算をする」ということで、例としては

  • 橿原神宮→(大和西大寺)→大阪難波
  • 京都→(大和西大寺)→(布施)→名古屋

これらのケースについては最短経路での計算ではなく、全行程の距離で計算がされます。(近鉄本社の見解について大回り乗車での特急乗り継ぎについての項目で説明します。)

迂回乗車を大回り乗車と勘違いして最短経路の運賃で乗車した場合は「不正乗車」となるので注意しましょう。

つまり、環状経路外~(環状経路)~環状経路外で最短経路の運賃で乗車した場合は不正乗車となります。

大回り利用時の近鉄特急利用についての注意点 料金さえ払えば「しまかぜ」「ひのとり」にも乗車可能

さらに近鉄の大回りで問題となるのは近鉄特急を利用した場合です。一応、大回り乗車をした場合でも普通乗車券と同じ効力を持つため、先ほどの環状経路区間内では、特急列車に乗ること自体に問題ありませんし、特別車両料金など所定の料金を支払えば、「しまかぜの個室」や「ひのとりのプレミアムシート」に乗車することもできます。

しかし、京都→大和八木→大阪難波で乗車した場合については2018年にトラブルが起きていたのでその事例を紹介します。

2018年に特急券が誤発売による大和八木で分割、それに伴う特急料金の過収受・過払い戻しが起きた問題 運賃計算にも問題

 

まず最初にこの件に関しては近鉄の対応を責めるためのものではなく、今後近鉄の大回り乗車において近鉄特急を利用する人に対して注意喚起をするためのものです。先ほどの文章での「近鉄本社の見解」というものは「大宮こより」さんの話を元に作成しています。(ツイートのスクショも許可済み)

ただし、2018年現在での見解となりますので、あくまで参考程度にしていただけると幸いです。

さて、本題ですが2018年に「環状経路を一部通過となる場合」という文章の解釈が近鉄側の見解と異なったため、この問題が起きました。先ほど説明はしましたが、この当時はそういった見解がなく、文章的にはどちらとも捉えられる文章でした。(現在も文章については変更されていません。)

近鉄特急を大回り乗車で利用しようとした際に、京都→(大和西大寺)→大和八木→(布施)→大阪難波の経路で乗車をするため、京都→大阪難波間の普通乗車券(近鉄奈良線経由の最短距離での運賃)と京都~(大和八木)~大阪難波の特急券を買いに窓口へ行ったそうです。

ただ、近鉄京都駅では大和八木で分割された特急券が発売され、特急料金が通常1340円のところ、1440円で実際の特急料金より高い料金での支払いとなりました。(後に誤発売と説明、掲載している運賃・料金は消費税増税後の値段を掲載)

この時、払い戻しをした際に特急料金について過収受・過払い戻しが起き、運賃についても最短距離だと960円で発売されましたが、先述の通り、環状経路外の場合、実際の距離に従って運賃計算されるため、大和八木回りだと1350円となっていました。近鉄側が損しているという形になっていました。(ちなみにYahoo!の乗り換え案内だと大和八木経由でも960円となっていました。)

結果的に過収受・過払い戻しがされたものに関しては追加返金や追加支払いをしないということになり、運賃については「環状経路外から乗って環状経路外で降りる場合は環状経路を一部含んでいたとしても全行程の運賃を収受するものとした上で、今後は最短運賃で乗った場合は不正乗車として取り扱う」という見解が示されました。

近鉄特急を利用して大回り乗車をする場合の注意点・まとめ

大回り乗車で近鉄特急に乗る場合の注意点としてまとめると

  • 環状経路を含んでいたとしても環状経路外発着の場合は実際の営業キロで運賃・特急料金が計算
  • その場合は実際に乗車する分の運賃を払っていないと不正乗車となる
  • また、環状経路内発着であっても、鶴橋~布施が重複するへ近鉄特急で乗り継ぐ場合には実際に乗車した距離の特急料金で計算され、鶴橋で分割されたものが発売される。

以上のことが近鉄特急で大回りをするために理解しておくべきことでしょう。JRの大回りとは違うということも理解し、ルールを守って大回り乗車を行いましょう。

大回り乗車は改札を出ない限りは乗車券は有効ですから、あえて普通列車縛りとか駅のホームでの撮影を色々なところでしてみるとか、色々な楽しみ方があると思いますので、そこもルールを守って行えたらいいのではないでしょうか?

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