9月11日、RTXはエアバスA320neo向けエンジン「PW1100G-JM」の点検対象を拡大したと発表しました。

P&W製エンジンに欠陥が

米エンジンメーカー、プラット&ホイットニーの親会社であるRTXは、エアバスA320neoに使用されているPW1100Gエンジンについて、特定のエンジン部品を製造時に使用される粉末金属に部品の亀裂につながる恐れがあるとして、エンジンを機体から取り下ろす点検が必要だと発表しました。

同社は、直ちに安全上の問題に直結するものではないとしています。また、現在製造中のエンジンには問題がないことから、今後の納入数に影響はありません。

今後は、P&Wが改修手順を示す「サービスブリテン」を60日以内に発行する予定です。なお、国土交通省航空局によると、現時点では対象となるエンジンのシリアルナンバーなどは明らかになっていません。

実は、同社は7月に同様の発表をしていたのですが、今回は、その対象が拡大となり、元々約200基を今年9月までに回収だったものが、今回の発表により約600-700基になる見込みです。

検査期間は今年から2026年まで要するとの見通しを明らかにしました。修理期間の見積もりもエンジン1基当たり60日から最大300日に延ばされ、2026年まで年間で平均350機が飛行停止を余儀なくされる可能性があります。来年前半には650機が飛べなくなる事態もあり得るとのことです。

日本への影響は?

ANAは、PW1100Gを搭載したA320neoファミリーをA320neo(国際線・国内線機材)が11機、A321neo(国内線機材)22機の計33機保有しています。

なお、JALはPW製エンジンを積む機体を現在は運航していません。

また、国内のLCCとしてはピーチはA320neoとA321LR、ジェットスタージャパンはA321LR、スターフライヤーはA320neoを保有していますが、いずれもエンジンはCFMインターナショナル製「LEAP-1A」を選択しているため、影響を受けることはありません。

ANAが対象エンジンが判明するまでどうするか、明らかになっていませんが、特にA321neoは全国の国内線に幅広く投入しており、今後の機材繰りの判断が難しい状態です。今後、ANAがどのような対応をするか注目です。

ANAは過去にもPW4000を搭載したボーイング777を国土交通省からの指示を受け、2021年12月にJAL、2021年2月には米国のユナイテッド航空でのエンジン損傷事案を受け、JALの13機と自社の19機、合計32機の運航を停止しました。2022年3月に再発防止策の実施を条件に運航再開が認可されました。

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