鉄道ファンにとっては衝撃的なニュースかもしれない、あの三菱電機の鉄道車両向け空調装置で35年以上も不正検査が行われていたと報道されています。三菱電機の鉄道部品、モーター音などが好きな人も多いと思うので、鉄道にフォーカスしてみようと思います。
1985年から検査で不正 JRや私鉄、世界でも広く使われている
まず鉄道ファンの方で、主電動機(電車のモーター)などでも不正があったのではないかと見出しだけでそう判断してしまった人も多いでしょう。まさか、Twitterの鉄道車両のトレンドで三菱電機が出てくるとは思いませんでした。
一つ安心してほしいのは三菱電機の主電動機は無関係で検査などに不正はありませんでした。なので、三菱電機の主電動機が無くなることもないです。
今回問題となっているのは、空調装置のみです。しかし、空調装置と聞いて思い浮かぶのは国鉄でも多く使用されてきたAU○○形シリーズ、これらは全て三菱電機が製造となっているもので、ベストセラーといってもいいでしょう。それゆえに不正検査を行っていた空調が使われていたと思われる車両は多いのではないでしょうか。
不正があったのは三菱電機 長崎製作所 あのN700系の空調も同社製
最速,最高の乗り心地,そして省エネルギーをコンセプトに,東海旅客鉄道㈱と西日本旅客鉄道㈱の共同で開発されたN700系新幹線向けに,三菱電機の長崎製作所では東海旅客鉄道㈱と先行して技術開発を行い,客室の快適性を担う空調装置を開発した。N700系新幹線用空調装置の開発に当たっては,軽量・コンパクト・静かでありながら冷房能力を確保し,しかも消費電力を削減することを目標とした。
三菱電機技報 N700系新幹線用空調装置における 省エネルギー・低振動化への取り組みより
東海道新幹線で700系の次に東海道新幹線の主力として登場したのがN700系車両。この空調もまた三菱電機長崎製作所で使われたもの。これにも不正があった可能性があります。また、先日導入計画が発表されたJR東海の新型特急HC85系の試験車にも三菱電機製のC-AU716形空調装置が使用されています。
この車両に搭載されている三菱電機設計のAU737形空調装置は,2013年頃から本格的に開発を開始し,2014年末に量産先行車向け空調装置の開発を完了した。この空調装置の特長は次のとおりである。
三菱電機技報 東日本旅客鉄道㈱向けE235系車両用空調装置の特長とメンテナンス性向上より
⑴ 主要部品の高性能化によって部品点数を削減
⑵ モジュール化によって組立て品質を向上
⑶ 定期保守での清掃性,メンテナンス性を向上
⑷ “状態監視”と“快適性制御”
また、現在山手線で運転されている主力車両E235系車両の空調もまた三菱電機製のものです。
三菱電機が製造してきた空調装置は1985年登場の205系にはAU717形から幅広く採用されています。ただし、一部、東武6050系などは東芝RPU-3002型冷房装置が採用された例もあり、必ずしも三菱電機製だったわけではありません。このことから、検査基準を満たしていない製品が多くの鉄道車両で使われていたということが想像できるでしょう。
三菱電機では不正が相次いでおり、今後の対応が気になるところです。