鉄道を利用する際、特定の方法で運賃を節約する「大回り乗車」というテクニックがあります。しかし、最近大阪でこの方法を使用した際に問題が発生。鉄道ファンがICカード「ICOCA」で乗車し、7000円の追加請求を受けた事件が話題となっています。この記事では、その背景と大回り乗車の正しい方法を解説します。

大回りだと思ったらまさかの不正扱い!?

鉄道ファンがICOCAで大回り乗車を試みたところ、自動改札で止められ、7000円の追加料金を請求されました。鉄道ファンは詐欺られたのではないかとルートを公開し、意見を求めました。

X上では、この鉄道ファンの大回りルートが不正か不正ではないかで意見が割れています。一体なぜ意見が割れたのでしょうか。

大回り乗車とは

大回り乗車は、鉄道ファンの間で知られる「裏技」の一つで、これを利用すると長距離を移動しても驚くほど安い運賃で乗車することができます。この方法は、JR線の「大都市近郊区間」という特定のエリア内で有効となります。

「大都市近郊区間」とは、大都市を中心とした周辺の路線網を指すエリアで、この区間内であれば特定のルールを守っていれば、最も安いルートの運賃で、実際の乗車ルートに関係なく乗車することができるのです。つまり、適切な方法であれば、近郊区間内を迂回する長いルートを取っても、短いルートの運賃だけで乗車することが認められているのです。この特例を利用した大回り乗車は、鉄道ファンの中で人気のある方法となっています。

この特例は「旅客営業規則」の157条2項で定められています。

大都市近郊区間内相互発着の普通乗車券及び普通回数乗車券(併用となるものを含む。)を所持する旅客は、その区間内においては、その乗車券の券面に表示された経路にかかわらず、同区間内の他の経路を選択して乗車することができる。

大阪近郊区間を見ると、鉄道ファンのルートは一部が区間外のように見えます。では不正なのでしょうか。

実はそういうわけではありません。今回はICカードを使っているということで別のルールが関係してくるのです。これが大回りの「大きな罠」になっているのです。

交通系ICカードには別のルールがある

実はICOCAなどの交通系ICカードを乗車券として使用する場合は、旅客営業規則に加えて別のルールがあるのです。「ICカード乗車券取扱約款」19条2項に前述の大阪近郊区間と似た特例が記載されています。

前項の規定により減額する片道普通旅客運賃の運賃計算経路は、別表1に定める実線及び二重線ならびに点線の区間を含む範囲において片道普通旅客運賃が最も低廉となる経路とします。(19条2項)

第1号の規定により乗車する場合の乗車区間の経路については、当該乗車区間に対する片道普通旅客運賃の運賃計算経路にかかわらず、利用エリア内に限り他の経路を乗車することができます。(20条1項3号)

このルールにより、ICOCAエリア内では、実際の経路にかかわらず、最安の経路の運賃で計算されます。

大阪近郊区間とICOCAエリアではなにが違うのか

似たような2つのルールですが、一体なにが違うのでしょうか。間違えると不正になってしまう場合があるので注意が必要です。

大回りができる区間が違う

大阪近郊区間とICOCAエリアでは、大部分が重複していますが、大阪近郊区間は区間外でもICOCAエリアは区間内、その逆もあります。

交通系ICカードか紙のきっぷか

ICOCAエリアの大回り乗車は、交通系ICカードでしか利用できません。大阪近郊区間の大回り乗車は、旅客営業規則が交通系ICカードを含め乗車券類に対するルールなので、どちらにも適用されます。しかし、大阪近郊区間ではあるけどICOCAエリアではない場合は、そもそも交通系ICカードを使用できないので、実質的に紙のきっぷのみになります。なので、交通系ICカードを使用する場合はICOCAエリア、紙のきっぷの場合は大阪近郊区間を基準にした方が間違いは少ないでしょう。

区間の違いが大回りの罠に

ルートに含まれていた播但線や、福知山周辺の山陰本線が、大阪近郊区間外だがICOCAエリア内ということで混乱が生じました。一部のネットの意見や、駅員がICOCAエリアと大阪近郊区間を勘違いしていたからです。

今回は、ICOCAではセーフで紙のきっぷでは不正というルール上の罠でした。一見2つルールがあり不便ですが、大都市近郊区間がない名古屋地区では、基本的に交通系ICカードでのみ大回りをすることができます。

また、大回りをするときは、時間制限によって自動改札が通れない場合があるので、有人改札で経路や根拠となるルールをきちんと説明できるよう準備をしておくことが大切です。

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